« ■100人の命より大事な事 | トップページ | ■ 中絶胎児廃棄に有罪?って論理がつながってないぞ! »

2005/05/12

■ 靖国問題に見る日本人の非論理性

小泉首相の靖国参拝が定期的に問題となっているようだ、定期とは毎年参拝の時期が来ると国内外で騒動が起きるが直ぐに国民の関心は薄れ、これを毎年繰り返していることをいう。そして判で押したように中国始め近隣諸国の言い分と国内の反論が全く噛み合っていない。

中国側の主張は日本の戦争責任であり、日本に反省と謝罪を求め、A級戦犯が合祀されている靖国に首相が参拝するなといこと。対して国内世論は、内政干渉だ、償いは終わったいつまで謝罪しなければならないのかキリがない、というもの。

しかしここには2つの大きな前提条件の誤りがあり、これを訂正しない限りこの問題は永久に解決しないだろう。

【サンフランシスコ平和条約】

一つめのは対外的な前提条件の誤りだ。それはサンフランシスコ平和条約である。

さて、中国からの首相靖国参拝反対のクレーム、一見内政干渉に見えるが果たしてそうだろうか。ことの対象がA級戦犯でなければ、そのとおりだろう。日本国内の問題で、日本の首相が私人だろうが公人だろうが国内で何をしようと、外国からとやかく言われる筋合いではない。

しかし、A級戦犯問題は対外的な問題なのだ、しかも日本は1951年サンフランシスコ平和条約でA級戦犯を受け入れ、国際社会に受け入れてもらい今日に来ている。今になって、極東軍事裁判はおかしいと言う人がいるが罪を認めておいて裁判がおかしいと言うのは矛盾だろう。だったら裁判をやり直すべきだ。

こういう話をすると、今更軍事裁判をやるのかとか、一体何時の話をしているのかといった全く関係ない論理を持ち出されそうなので、念のため言うが、別に軍事裁判を開けといっているのではない。極東軍事裁判なり、それを受け入れたサンフランシスコ平和条約が間違いなら、間違いとして公式な国際社会で明確にすべきなのである。

先のJR西日本の事故では、代表者が遺族や社会に対して陳謝するなか、社員が宴会をやったのはけしからんと世を挙げて怒っているではないか。たとえは悪いが、靖国参拝はこれと同じ、謝っているのは形だけだと言われても仕方ないだろう。

だから、A級戦犯受け入れというこの前提条件を覆さない限り、時間が経ったらといって、首相が国家として内外に表明した方針に反する行動をしたら批判されて当たり前だろう。A級戦犯はけして戦犯ではないと明確に位置づけるべきなのだ。

そうすれば、A級戦犯は職務を全うしただけの日本国民であるから、他の日本国民との違いは無くなり、首相参拝は国内問題となる。この場合、中国は日本国民全体に謝罪を求めることになるだろうが、その上で明確に国家間の取り決めとして、謝罪内容を具体的に明文化し、日本は誠実にこれを実行すべきだ。

そうでなければ、日本人の子孫は永久に肩身の狭い思いをすることになる。ハッキリと何が謝罪かを決めずに、後になってやれODAで7兆円払ったとか、いつまで謝罪するのかと言ったところで、みっともない。

【憲法との矛盾】

二つめは国内に置ける前提条件の誤りである。それは憲法との矛盾だ。つまり①日本国憲法では思想信条・信教の自由が保障され、②靖国神社は宗教法人であるということ。首相が英霊を追悼するのは当然のことだが、それが特定の宗教施設では法治国家として矛盾すると言うことだ。

首相が、カルト教団に参拝していたらと考えれば分かりやすい、そこに英霊が祀られていたとしても問題になるだろう。実際にそのような事は行われていないから推測では有るが、週刊誌などではよく池田大作氏の元へ某議員が行ったとか行かないとかが取りざたされるところからも、非難されることは間違いないだろう。

もっと分かり易く言えば、こういう言い方をすると、カルト教団と靖国を一緒にするとは何事かと怒る日本人が多いが、それが答えだ。どう思うとその人の勝手であり、思想信条の自由が保障されている以上、優劣の区別などあってはならないのである。

そもそも、ことさらこんなことを長々と言うまでも無く、首相の諮問機関である「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」において無宗派の追悼施設が必要であると提言されているのだ。

くどいようだが、本論は靖国神社を否定していない。どうぞご自由にだ。靖国神社に祭られたい方は祭られれば良い。参拝も自由だ。他人がとやかく言う筋合いではない。だから、祀られないのも参拝しないのも自由のはず。靖国はそのままに無宗派の追悼施設を造れば良いのだ。中国は英霊を追悼するなとは言っていない、A級戦犯問題と靖国とを曖昧にしてゴッチャにしてややこしくしているのは日本なのだ。

例えばある外国人(韓国)の遺族が遺骨を返して欲しいと言ったら、一度合祀したら分祀できないと靖国神社は拒否をしたのだ。これはスゴイ、日本は法治国家ではなかったのか。この韓国の戦没者は未来永劫靖国に葬って欲しいという契約でもしたのだろうか。

戦前の国家神道ならば、何と言う不敬な発言かとなるだろうが、現代においては一宗教法人に過ぎないのだ。信者に対して分祀できないというのならまだしも、戦争に徴用された外国人の遺族が身内の遺骨を返せといっているだけで、靖国の教義を変えろとは言っていない。

外から見れば、靖国は憲法も及ばない国家神道なのかとなるではないか。別にそれがいけないと言っているのではない。日本人がそれでよいと言うのなら、他人がとやかく言う問題ではないが、だったら憲法に思想信条・信教の自由などと書かなければよいではないか。あるいは靖国を国家神道として堂々と位置付けるべきだろう。

余計なことと言われるかもしれないが、宗教とは思想信条の究極なのだ。だからイスラエルでは今も宗教戦争の真っ只中に有る。イラクを始め世界中で宗教戦争が起こっているのに、日本人はあまりにもこういったこと無頓着だ。

不可解なのは、結婚式はキリスト教、葬式は仏教、お祭りは神道と全く無節操でありながら、何故靖国になるとそこだけ厳格になるのかだ。おそらく明確な理由など無く、思想信条が無節操だから単にしきたりとか習慣として教義を受け入れ守っているのだろうが、じっさいのところ謎で、多くの日本人に聞いても「靖国は日本人の心だ」式の結論だけの返答で、誰一人何故そうなのかその理由は言えなかった。

日本にはこういったダブルスタンダードが、個人レベルから国家レベルまでやたらと多い。

憲法を例に取れば、これまで述べた靖国問題に限らず、平和憲法といいながら、自衛隊という軍隊を保有し、これを軍隊ではないと言う。挙句にパッチワークのように法解釈を加え、海外にまで派遣しているが、なぜキチンと憲法を改正しないのだろう。

アメリカなどは修正条項がゴマンとあるではないか。ま、しかし長くなるので憲法改正についてはまた別項で述べることにしよう。要するに、少なくとも国家の普遍的方針である憲法という前提条件くらい明確にしなくては、国内問題すらまともに議論できない、まして国際問題となれば、日本の常識、世界の非常識で、ハア?だろう。

|

« ■100人の命より大事な事 | トップページ | ■ 中絶胎児廃棄に有罪?って論理がつながってないぞ! »

コメント

>>例えばある外国人(韓国)の遺族が遺骨を返して欲しいと言ったら、一度合祀したら分祀できないと靖国神社は拒否をしたのだ。


合祀の意味知らないのか??
靖国神社に遺骨が埋葬してあるとでも思っているのか。
そんな基本的なことも知らずに靖国のことを論じるなんて低脳としか思えない。

投稿: さば | 2009/06/19 16:45

>だとしたら、何故日本政府は公式に11条を削除させないのでしょうか?私はこの11条の存在そのもの、つまり日本国がA級戦犯を受け入れたことを問題にしているのですが・
→A級戦犯が合祀されてるからどうのこうの・・と言ってるのが支那・朝鮮だけだからでしょうね。

投稿: 通り村主 | 2006/07/22 21:52

宗教に無頓着な人間の意見を言わせてもらえば、世界で起きている多くの戦争は宗教が原因なような気がします。土地争いとか食料をかけた生き残り合戦もあるとおもいますが、これらが原因の場合はそれなりに時代がよくなって物が豊かになれば争う理由が尽きることもありますが、宗教が原因の場合は争う理由はなくならないと思います。日本人は宗教とか思想が薄いから話しをしていても曖昧で信念みたいなものが明確でない人が多いですが、争いごとや衝突を避けよう避けようとする姿勢はいいと思います。
国際的にみれば幼稚かもしれませんが、、、

投稿: 匿名希望 | 2005/10/01 19:37

qibingさん、投稿ありがとうございます。

>処刑されたのだから罪は償っている
→そのとおりです。ちなみに私は東条英機が犯罪者とは思っていないし、むしろ英霊として祭られるべきと思っています。ただ、これが何か本論に関係あるのでしょうか?

>サンフランシスコ講和条約第11条にもとづき関係 11ヶ国の同意を得て免責されていますが?
→だとしたら、何故日本政府は公式に11条を削除させないのでしょうか?私はこの11条の存在そのもの、つまり日本国がA級戦犯を受け入れたことを問題にしているのですが・・・。

>だいたい靖国神社に遺骨は存在しない。
→これはそのとおりで、アップした時点で気付いてましたが、サーバーの故障らしく訂正できませんでした。今も試しましたがダメです。qibingさんはお気づきのうえと思いますが、正確には、「合祀の取り消し」を韓国遺族らが要求しているということです。「遺骨を返せ」をこの言葉に置き換えていただければ、後は同じ、つまり論旨はいささかも変わりません。

取り急ぎ。

投稿: イザヨ・ベンダソン | 2005/05/24 00:17

サンフランシスコの講和の話がでたが、すでに処刑されたのだから罪は償っているのではないか?
それに、A級戦犯を含むすべての戦犯は、サンフランシスコ講和条約第11条にもとづき関係 11ヶ国の同意を得て免責されていますが?

それに>「例えばある外国人(韓国)の遺族が遺骨を返して欲しいと言ったら、」 これ自体事実誤認。 だいたい靖国神社に遺骨は存在しない。
>「この韓国の戦没者は未来永劫靖国に葬って欲しいという契約でもしたのだろうか。」 少なくとも旧軍では軍人軍属にはそのように説明していたし、契約とかそういう問題ではない。
意見はともかくあなたは不勉強すぎる。

投稿: qibing | 2005/05/23 20:24

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101905/4097323

この記事へのトラックバック一覧です: ■ 靖国問題に見る日本人の非論理性:

» 横丁のオヤジの繰言は聞きたくない--靖国神社参拝問題に関して [BigBang]
「横丁のオヤジ」を軽んじるわけじゃないが、「横丁のオヤジ」が日本国の内閣総理大臣 [続きを読む]

受信: 2005/05/18 02:50

» 靖国とコーラン [小説のような日々]
日本の国連安保理常任理事国入りが叶うかどうか、ぎりぎりの局面を迎えている。 [続きを読む]

受信: 2005/05/18 15:40

» 靖国参拝の不思議(上) [◆木偶の妄言◆]
毎年8月15日に「全国戦没者追悼式」が開かれている。1963年の閣議決定以降、政府主催で毎年行われているものだ。82年以降は「戦没者を追悼し平和を祈念する日」として閣議決定され、それに基づき行われている。総理大臣、衆参両院議長、各政党代表、天皇・皇后などが参加する。 式典における戦没者の範囲は「日中戦争以降の戦争による死没者(軍人・軍属及び準軍属のほか、外地において非命にたおれた者、内地における戦災死没者等をも含むものとする)」とあり、軍人・軍属230万人、空襲や原爆、沖縄戦などで死没した一般... [続きを読む]

受信: 2005/05/23 17:10

» 日中関係を今後どうしていくべきか。 [la3751の日々雑感]
 今回、中国副首相と首相との会談キャンセルがあった。  確かに、首相と会談することを、日中外相会談で合意しておきながら、一方的に キャンセルすることは、非礼な行為である。  理由はともあれ中国は、批判されて当然のことをしている。  しかし、一方で、中国がどうして、外交儀礼に反してまで、首相との会談を拒否した かについて、きちんと考えておく必要がある。  なぜなら、日中関係は、外交上・経済上、重要な関係にある。 外交面では、国連安保理加入問題や北朝鮮問題で、中国はキーマンである。 また、経済... [続きを読む]

受信: 2005/05/24 20:48

» 中国副首相の会談キャンセルと靖国神社 [りゅうちゃんミストラル]
小泉首相と中国副首相である呉儀氏との会談が、中国側の都合でキャンセルしたことに日本国内では批判があるようだが、私にはその怒りの理由がわからない。中国会談キャンセル:「内政干渉」引き金に(毎日新聞)その理由は簡単。1、中国は話のしにくい国だ。今怒っても無...... [続きを読む]

受信: 2005/05/26 16:10

» 靖国問題 [福井孝典ホームページ]
 靖国問題は国内問題であり、中国・韓国等は内政干渉をしていると主張し、その口が閉まらぬうちに、日本国内で首相の靖国参拝を批判するのは、外国からの攻撃を呼び込む売国的態度だと非難する者がいる。つまり、この論者にあっては、国外からであろうが国内からであろう...... [続きを読む]

受信: 2005/05/29 16:43

« ■100人の命より大事な事 | トップページ | ■ 中絶胎児廃棄に有罪?って論理がつながってないぞ! »