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2006/11/16

今そこにあった危機

B00005hrbk01_aa240_sclzzzzzzz_ 耐震偽装は今そこにある危機ではない、25年前から指摘されていた危機だ。国の責任は重い。

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■25年前に登場したアプリ

今から25年前、「セラー服と機関銃」で嗚呼快感なんて言いながら、薬師丸ひろ子が機関銃をぶっ放していた。あの時の薬師丸ひろ子は可愛かった(今もです)。そしてこの年、構造計算に「新耐震基準」が導入、水平保有耐力など2次設計が導入され、それまでの電卓での計算では到底追いつけず、所謂1連計算プログラムが登場した。

■それまでは手計算

それまでの構造計算は、まず長年の経験から柱や梁の断面を仮定して構造計画を立て、建設省が定めた構造パターンや断面性能といったモデル毎の計算式に、荷重計算した数値を当てはめて電卓を叩くもので、基本的に4則計算だけの単純(簡単と言う意味ではない)な作業だった。

その代わり、構造設計者は自分で電卓を弾くのだから、自分の設計は理解していた。が、ミスはあった。ある構造の先生は、鉄骨造の設計で、建った後ミスに気付き、台風が来るたびに生きた心地がしなかったとか、その建物が取り壊されてやっと安心して眠れるようになったと話していた。

■理解し難かった新耐震と一連計算

で、「新耐震基準」になってからは、ベテランにも俄かには理解不能な保有耐力始め、全塑性モーメントだの、層せん断力だの、崩壊メカニズムだの、とにかく、それまでの弾性領域の計算だけではない終局強度の考え方やら地震の応力計算等々全く変わってしまって、難しい上にメチャクチャ手間が掛かって、とてもじゃないが手計算では出来なくなり、一連計算プログラムが登場した。

簡単に言えば、必要なデータを入力すれば、後は機械が勝手に計算してくれると言うものだ。入力に間違いが無ければアウトプットにも間違いが無いから、先に述べたような計算ミスは起こらない。

■一連計算はブラックボックス

だが問題もあって、計算内容はブラックボックスなので、極端なことを言えば、構造が分らなくても構造設計が出来てしまう恐れがあった。実際、新耐震が導入されたころは、構造屋よりも電算屋の方が構造計算を理解していて、ユーザーである構造設計屋をバカにしまくって殿様営業をしていたものだ。

■危惧

そんなことから、建築雑誌では、このことを危惧し今に構造が分らない構造設計屋が出てくるのでは、とかベテランと新米の差が無くなりミスがチェックできないなどと取り上げられていた。ただ、さすがにアプリケーションのアウトプットを差し替え偽装するなどという事は誰も想定してはいなかったように思う。

しかし、ミスも偽装も故意か過失かであり結果が正しくないことでは同じだ。だから間違いが起きないようにしなければならない、大丈夫なんだろうかと盛んに言われていたのだ。

(どなたかこの頃の専門誌をお持ちの方がいれば、是非確認願いたい。)

■潜伏期間

その危惧されていた事が25年後に起こった。それが昨年来取りざたされている耐震偽装事件だ。言い方を変えれば25年前から指摘されていた危険性が、25年の潜伏期間を経て発病したという事だ。

では、この25年間国は何をしてきたのだろうか。この、25年前に指摘されていた危機に関して何ら手を打っていなかったのだ。認定プログラムに潜む危険性は誰も気が付かなかった事ではない、気が付き指摘されていた危険なのだ。皆さん、そこに気が付いて欲しい。

■国の責任

アプリケーションの計算過程は完全でも、それを使い管理するシステムに問題があるのだからその危機管理が成されていないとすれば、構造計算が地震という代表的危機への対応なんだから、シャレにならない。25年も対応を怠ってきた国の責任は免れないだろう。

■追記

以上は、全て記憶を頼りに書いている。論旨にはあまり影響無いと思うが、全く資料も無く専門家でもないので、細かい技術的な部分では記憶違いがあるかもしれない、間違いがあればご指摘願いたい。

また、拙ブログでは、偽装発覚当初から、ヒューザーが最大の被害者、耐震偽装は姉歯の犯行で、形式的責任は元受設計事務所、確認検査機関にあるが誰も見破れないことなので、最終責任は国にある。といって来た。このスタンスは今も変わらないし、正しかったことが徐々に証明されてきていると思う。ヒマな方はカテゴリーの耐震偽装から過去ログをご覧頂きたい。

↓ちなみに最初の記事はこちらです。

2005/11/23構造計算書偽造事件に見る民族ヒステリー

2005/11/26耐震強度偽造事件 報道の怪

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