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2006/12/19

国家改造10ヵ年計画/教育基本法改正について言いたい事(3)

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■教育基本法改正の真の問題点

実際のところ、愛国教育を懸念する向きが多いが、表現がどうあれ国家が愛国教育して問題があるとは思えない、しないほうがどうかしているだろう。どうも愛国=軍国あるいは全体主義と勘違いして、過剰反応しているような気がする。

教育評論家 尾木直樹氏(59)のコメント「「態度を養う」教育がどのようなものかは東京都教委の例を見ればいい。指が三本入るまで口を開けて君が代を歌うという極端な指導をしている。日本を愛していても気が小さくて大きな口を開けて歌えない子供は、愛国心がないことにされてしまう。」等はその典型だろう。

ここでいう極端な指導とは現基本法下のことであり、同氏の懸念に過ぎない。この教育基本法、反対意見で懸念される事態はほとんど全て現行法でもできることであり、実は改正してもしなくても、あまり影響はないように思う。

①最大の問題点は改正のプロセスとあきらめ・無力感

問題なのは、改正された中身よりも、充分に審議しないで強行採決したプロセスであり、反対運動つまり関心が強行採決と共に終わってしまうことなのだ。あれだけ反対したのにと言う無力感、これが最大の問題点なのだ。

②改正の中身は何でも良かった?

改正の中身はへのへのもへじでも何でも良かったのだ、どうせ憲法9条でも自衛隊ができるし、安保反対も70年でプッツリ終わったのだから。人々の関心が無くなれば、旧法だろうが新法だろうが、軍国教育ウェルカム、何でもありなのだ。

だから、国家の教育方針に国民が関心を持ち、何がいけなくて、どうすべきかをキチンと自分の頭で考えること。これが大事なのだ。単純に単語に反応し、愛国教育反対を唱えるだけでは説得力無いから、人々の関心が薄れてしまい、却ってナショナリズムを煽り右傾化の後押ししてしまう。

③議論しない(できない)事も問題、ボディーブローのように効いてくる

改正に反対する人々は、愛国教育が罪悪であるかのように言うが、愛国心を教育せずして何の国家だろうか。問題なのは、それが戦前のような全体主義になることであって、愛国教育ではない。愛国教育はなんでもかんでも反対では、議論にならず、強行採決とどっちもどっち、単なるパワーゲームに過ぎない。ここに問題があり、後で述べる改正反対の理由であり、ボディブローのようにじわじわ効いてくる。

教育基本法反対論者の主張は(改正派の主張もだが)、どれも客観的論拠が希薄で、法改正の文言に自己の解釈を述べているに過ぎない。例えば以下の、改正前後の法文の比較と解説をご覧いただきたい。

http://www.kyokiren.net/_recture/date060428.pdf

解説には、「開かれて多様な文化から、国家主義的伝統文化の強調へ」などと言った説明文が並んでいるが、いづれも書いた本人・組織の解釈に過ぎず、この例でいえば国家主義などと言う言葉は、条文中に無い。

但しこの解釈が間違っていると言うのではない、前後の文脈から「国家主義的」なことは感じられるからだが、逆にいえば明言されてないからそうじゃないとも言える。しかし、そもそもすべての法は憲法を最高規範としており、憲法が思想信条など個人の権利を保障しているので、こういう議論自体が論理矛盾だとも思う。憲法に違反した内容であれば、法として無効なのだ。

では反対運動は間違いかといえば、絶対に必要だ。それは反対理由が解釈に過ぎないように、逆に法の運用においてもいくらでも拡大解釈が出来、歯止めが利かなくなるから、屁理屈でも、言いがかりでも何でもいいから抑止する必要があるからだ。

■一体、改正は良いの?悪いの?

今、この文章を読んでいて、改正を肯定したり否定したり、一体改正に賛成なの、反対なのと思われるかもしれない。実はそれでよい。教育基本法自体改正しようとしまいと、大勢に影響はないのだ。

大勢に影響無いから、何が良いのか悪いのか、非常に分かりにくい。以前述べたように心を涵養しようとしまいと、そんなものコトバのアヤだ。そんなこと分かっているのに、賛成・反対を真顔で議論するから、相手を勘ぐりあいながら、お互いを否定しあう。だから、全く議論がかみ合わない。つまり法改正の中身なんて関係無い所以だ。

このように、否定しあうだけで議論できないことは、この先の憲法改正論議も出来ないことを意味する、そこが問題なのだ。国民は、またも何だか分からないと錯覚を起こし、反対する人は反対するんだろうと、意味不明な納得をしかねない。

憲法改正には国民投票があるとは言え、またも数を頼んでの強行(?)採決で一気にカタが付く可能性がある。まあ、いくらなんでも憲法改正がそんな乱暴には行われないだろうが、国民の感覚麻痺はオソロシイ。だから、今何故、教育基本法に反対なのか、客観的事実に基づき、その理由を明確にしておく必要がある。

■教育基本法改正反対の理由

先に述べたように、教育基本法は理念法故に、個別具体な規制や誘導ではないのでコトバ遊びめいた側面は否めない。一方、理念故にこの国の教育全般の在り様を示したもので、教育行政全般を支配するのも事実。ここに矛盾がある。

そこで、コトバの解釈が非常に重要でシビアになってくるが、理念ゆえに曖昧なので自己矛盾に陥る。つまり個別具体に明快な基準が、この教育基本法自体に示せないし、示してもいないのに、各自が勝手に個別具体に想定した問題点を論じるからだ。

そして、理念法故のコトバ遊びとなれば、議論をしたところで所詮答えなど確定しようもないが、議論の過程で出てきた個別具体の問題やケーススタディ例えば愛国教育の想定される範囲などは、公式記録として残り、その後の法解釈の暴走に対して抑止効果がある。

だから、答えには至らなくても、基本を支配する理念法故に、あらゆる解釈を想定し、その限界点を確認する作業が必要なのだ。これが無ければ、いくらでも拡大解釈が成り立つ。くどいが、自衛隊がその典型だ。法文改正の中身よりも、議論を重ねるプロセスが大事である所以だ。だから、充分に議論されていないことが、反対する理由となる。何時間討論したという問題ではない。

■客観性ない反対理由は敵に利するだけ

ところで先が読める意識の高い人々は、この教育基本法改正に危機感を覚えているが、実の所、改正条文そのものにではなく、低俗なマスコミのクズ情報や耐震偽装に見られるような言論統制の兆候を敏感に感じて、法を運用する側の体質に危機感を覚えているようだ。

危機が見える故に、一生懸命に国民に、自分が感じる危機を具体的に訴えるが、問題意識が無い人々には、それも一方の解釈に過ぎずピンと来ないのだ。

例えば、「真理と平和」が「真理と正義」と変わることが「憲法9条の関係と切断する」と説明されても、憲法が最高規範であることには変わりが無いし、「平和」と「正義」が排他的二者択一の関係でもないので論理的に無理がある。

見えていることを教えたいと言う気持ちは分かるが、自分の解釈が絶対に正しいとする論拠では、客観性がなく、本質的には黙って言うことを聞けということであり、それでは強行採決する側と変わらないではないか。客観性の無い反対理由は敵に利するだけなのだ。

■体制側から見た教育基本法改正の位置付け

では、改正してもしなくても大勢に影響無い言葉遊びの教育基本法改正を何故に、わざわざ強行したか、それは憲法改正の試金石と考えられる。なのに与党に適当な議論を吹っかけられた野党は、自党アピールに夢中で、見事にエサに食いつきコトバ遊びに乗ってしまった。

今更だが、キチンとした反対討論、バリエーションを増やした反対討論が出来なかったものだろうか。拡大解釈が懸念されるなら、出来るだけそのことを議論して欲しかった。俺の言うことを聞けでは、自党のアピールにはなるかもしれないが、与党が過半数を占めているのだから歯止めにはならない。

何故天下国家を考えた戦略が考えられないのだろうか。野党のこの戦略の無さが悔やまれて仕方が無い。結果として、与党の作戦勝ち、次に控える憲法改正に手ごたえを感じたことだろう。

念のために言えば、私は憲法改正に反対ではない。現にある領土侵犯の危機や、攻撃される危機を直視せず、内向きの言葉遊びや屁理屈で危機が無いものとしたり、乗り切れると勝手に定義し、念仏のように平和憲法を唱えれば、平和が維持できるとは思わないからだ。

だからと言って、勇ましいことを言って戦えとも思わない。戦うことが目的ではなく、平和が目的だから、如何にして現実的に戦争を回避するかを考えたい。そのために、「領土拡大否定論」を唱えている。

■諦めるな、しつこくくすぶりつづけよ

自説が絶対とは勿論思わないが、否定のための否定や言葉遊びで優劣を競っていては、平和はおぼつかないし支配者の思うツボだ。耐震偽装も教育基本法改正も、大衆の問題意識をコントロールする非常に重要な試金石なのだ。

だから簡単に支配者に乗せられてはいけない。つまり一過性のファッションのように問題意識の火を消してはならない。教育基本法改正反対の理由を例えば、充分な討論・ケーススタディが行われていない等と明確に整理・理解した上で、何時までもくすぶり続ける事が大事だ。充分な討論がされてないから、充分になされるまでくすぶり続けるのは当たり前なのだ。

■ファッショ化のシミュレーション

くすぶりが終わったら、この国は一気に右傾化ファッショ化する可能性が高い。最後に国家改造10カ年計画のシナリオをシミュレーションしてみよう。先に述べたように、教育基本法の中身がどうであれ、人々の問題意識さえ薄れたなら国家主義教育は可能で、10年も有れば効果があると思うからだ。

そしてこれを助長するのが、学歴主義と受験システムによる階層分離だ。今や東大生は裕福な家庭の子女である事が広く知られているように、富める者はより富み、高学歴となって階層分離が益々進展する。

愛国教育を行ったところで、受験戦争にしのぎを削る富裕層にはあまり影響が無いだろうが、下層階級にとっては自己のアイデンティティを保つのに、愛国主義は好都合で、活路を見出しやすい。

体制批判でもしようものなら半ばウップン晴らしにブスリとやられ、皆沈黙してしまう。そして多数派だ、支配層もそれを望んでいるとなれば、たちまち世論を形成することは想像に難くない。

かつてのファッショ化と同じパターンだ、国民は集団ヒステリー状態となり、北朝鮮を攻撃して同胞を奪還せよ、中共の領海侵犯許すまじといった、勇ましい声が世を席巻しはじめ、憲法改正、軍国主義化にまっしぐらだ。もうこうなると誰にも止められない、迂闊なことを言えばブスリとやられるし、今でさえ別件逮捕が日常茶飯事なのだから、簡単にブタ箱行きだ。

かつて、ほんの10数年前に教育基本法改正反対と叫んでいられたことが夢のように思えることだろう。国民はその時になって、自分たちの無関心が羊達の沈黙だったことに気づいても、もう遅い。

一度、沈黙した羊になってしまえば、狼には逆らえず、集団ヒステリーを起こした国民には自浄作用は働かない。極東の島国から世界大戦が始まらないことを祈るばかりだ。何しろニッポンジンは集団ヒステリーに陥りやすく、そうなると理屈もへったくれも無い上に、なまじ優秀だから始末悪い。この国が弾けたら、北朝鮮どころではない、人類滅亡だって有り得る。

コイツ何を言い出したのかと引いてしまったアナタ、アナタの周りを見ていただきたい。訳の分からないイジメがはびこってはいまいか。ジャーナリズムを気取っていながら、民主主義の世なのに及び腰のメディアばかりだ、ファッショ化すればたちまち権力への提灯記事のオンパレード、大本営発表を臆面も無く流し、北朝鮮の厳しいアナウンサーも裸足で逃げ出すことだろう。

教育基本法改正に関して言いたい事は以上。

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コメント

今晩は。
>裸足で逃げ出す
パンツぐらいは、穿[ハ]いているんでしょう? やはり。

ナンちゃって。pantsは、ズボンのことですからね。
変な想像したあなた、ビッグブラザーが視ていますよ。ご用心。

投稿: ivanat | 2006/12/21 21:16

ともこ様、コメント有難うございます。

>手遅れにならない内に‥

これから忘年会なので、今日の夜中に、返答も兼ねて、記事をアップします。タイトルは「沈黙は禁、継続は智から」とか「空に怒る日本人」か、まあアルコールの量次第御です。

よろしくお願いいたします。

投稿: ベンダソン | 2006/12/21 16:59

論理的でかつ的確なご指摘にただ脱帽です。
また私自身心の中でうまく説明が出来ないもやもやとした曇りが取れ、この曇りの原因がわかりました。
どうもありがとうございます。
私も教育基本法改正案が成立するまで自分なりに反対運動をしていました。
でも、改正案が成立してしまうと同時に無力感に襲われ、まるでこのかとから目をそらすようにここ数日間別の用事に没頭していました。
そのくせ自分のことは棚に上げてマスコミは取り上げてくれませんでしたが国会会期中連日多くの人達が国会前で反対運動をしていたのを知っているので他の国だったら例え改正案が成立してもそのやり方である強行採決に対し怒って更に反対運動が高まったり暴動が起こったりするのかもしれないなとか考えていました。
日本の場合法案が成立する前までは反対運動がどんなに盛んでも一度成立してしまったらその後は急に火が消えたように運動がしぼんでしまう。
もちろんその後も反対運動をしている人は多くいますが、大抵の人は諦めてしまうのか法案成立後更に運動が盛り上がったのを見たことが無いように思います。
このことを私は日本人の特徴なのかと思っていましたがこちらの記事を読んでその原因がわかりました。
私自身教育基本法の改正に客観的思考から反対していた訳ではありません。
情緒的な感情が大部分でした。
今回の教育基本法改正で与党は確かに憲法改正や共謀罪など他の法案にも手ごたえを感じたことでしょう。
これらの法案も教育基本法改正の時と同様にマスコミを押さえて国民を都合の悪い内容から目を逸らさせ、強行採決で押し切ればいい。
野党や国民がどんなに反対したって強行採決をして成立させてしまえばどんなに大きな反対運動もすぐに鎮まるから大丈夫!なんて思っているのでしょうね。
ここまで国民をなめているのかと思うと本当にくやしいです。
でも、そんな与党を作り出したのも、与党をそこまで増長させたのも国民が一人一人自分で考えることをせずに政治を任せっぱなしにしていたことが原因の一つですよね。
こちらに書かれている記事の内容は間違いなく現実に起こりうることだと思います。
いや既に起こっていると言った方がいいのか‥
私も自分の心にまた曇りが生じてきた時にはこの記事を読み返しておかしいことには諦めないで声を上げていきます。
手遅れにならない内に‥
長々と失礼しました。

投稿: ともこ | 2006/12/21 01:32

ペンタクロス様、半兵衛様、

かくも、長ったらしく支離滅裂なお話に、ご理解いただき有難うございます。

「やらせ」による民意操作、耐震偽装等の情報隠蔽に始まり、ついに共謀罪にエスカレート、教育基本法を試金石に、その先、本丸は憲法改正です。

談合と言う不正と戦って良く分かりましたが、弾圧を受けても誰も助けてはくれません。人は長いものに巻かれろと平然と言いますが、ここから直す必要があります。

そのためには、諦めないことだと思います。国会で成立する事が分っていても大騒ぎすることが大事だと思う次第。

取り急ぎ
よろしくお願いいたします。


投稿: ベンダソン | 2006/12/20 10:02

全く同感です。
中国や北朝鮮の動向以上に危険な兆候が国内にはびこっていることに、多くの日本人が気付いておりません。
自分自身の行動の場合なら、何もしなければ当面現状が維持できますが、政府与党が出す法案は、国会議員の数だけで決まってしまいますので、たとえ国民全員が反対の意向であっても、何もしなければ政府の都合のよいように現状が変えられてしまうということを、理解すべきだと思います。

投稿: 不動産鑑定士半兵衛 | 2006/12/20 08:48

こんにちは。
「何故、現政府が『やらせTM』という『不正』を働いてまで『改正』したかったのか」を考えれば、そこに「悪意の運用」を感じるのは至極当然のことでしょう。これは歴史に残る「犯罪」です。

投稿: ペンタクロス | 2006/12/20 02:40

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