日曜版追加雑談/噂の東京マガジンについて
簡単にまとめると、
・ 緑地保全地区:横浜の条例で緑地保全地区指定されていたマンション敷地の斜面樹林地がいつのまにか指定解除されていたという。解除理由は、山林課税から宅地課税にしたため。
・ 課税が減免:緑地保全地区指定されれば、緑地として保全され、代わりに山林として税が減免される。
・ 住民要望:周辺住民が一生懸命緑地保全運動を行って実現したのに、指定から3ヶ月で反故にされたとの周辺住民の弁、マンション住民もこの緑地環境が気に入って買ったのにと不満を募らせている様子
等が放映された。つづいて、横浜市へのインタビューでは、
・ 課税と緑地保全地区指定は別問題:宅地課税は周辺土地利用から妥当な判断、課税と緑地保全地区指定は担当も法体系も異なる別問題。
・ 指定解除:マンション建設時から既に宅地課税を決定し、緑地保全地区指定を解除していた。引渡しの重要事項説明がどうされたか市は関知しない。
といった、横浜市の言い分が放映された。
さらっと、この番組を見た方は、なんだ横浜市はケシカランとか、業者がウソを言ったのではと思ったのではないだろうか、実際そういう言い方だった。
だが、ちょい待て、番組の中で、横浜市は上記のようにマンション建設時には指定解除したと言っていた。根本的な事実認識が番組の見解とちがうぞ。調べれば直ぐ分かる事なので市職員がウソを言うはずも無いし、番組では、そのことを受けて、業者は重要事項で緑地保全地区指定を言ったはずだと述べていたから、私の聞き間違いでも無いだろう。
とすると、事実だけを取り出すと横浜市の言い分は至極妥当であり、住民や番組の言い分はどうもトンチンカンだ。住民が正しくてお上が悪いとは、放送された内容からは考え難い。
当初、番組では、いかにも緑地保全地区指定が急に解除され、そこにマンションが建ったり、マンション住民の税金が高くなるかのような言い方だったが、横浜市の説明では、引渡し前に宅地課税し緑地保全地区指定を解除しているから、税金は元々高いのだ。急に高くなるとはどういうことなんだろう?
マンション住民との売買契約では緑地保全地区指定が謳われていたことがウソじゃないかと言う指摘も、オカシイ。何故なら、緑地保全地区指定解除は緑地保全を義務付けないだけで、緑地保全を禁止している訳ではないから、仮にそのように説明されていたとしても実際は何の問題もない。
マンション住民がこの緑地が保全されるから買ったのにと言うのは、明らかに勘違い発言で、自分の土地なんだから緑地保全したければ、すればよいだけ。別に税金が変わる訳でも何でもない。
また、周辺住民の言い分もオカシイ。自分の土地でもない、たまたま後から開発されたマンション敷地の緑に対し保全しろと要求しているのだ。誰にとっても都市の緑は貴重だが、公共用地でもない他人の土地にそれを要求し、自分たちは何の負担もしないのは住民エゴだ。日本の住民活動には、こういう自分のために他人に義務や犠牲を要求するのが非常に多い。
この住民はどうか知らないが、一般に何でも緑とか生態系を持ち出せば、自分たちは特別の存在で要求が通ると思っているようだ。人は皆平等であることを忘れている。特に開発に反対する自然保護派でよくあるのは、自分が開発地に住んでいて、後の開発には反対という理屈だ。
元々土地利用規制された土地ならともかく、自分と同じ土地利用規制の場所に、開発をしてはならないと要求するのは、ウチはいいけどお宅はダメよということ、一体何が根拠に自分だけが特権なんだろうか。
自然保護運動や住民運動が全て正しく、お上や企業は全て悪と考えるのは非常に短絡的だと言いたいのだ、マスコミが弱者の味方になって取り上げるのは良いが、少しは考えろよということ。弱者の味方をすることと、弱者の味方に見えることは違うのだよ。
ついでに言うと、この噂の東京マガジンでは、都市問題をいつも扱っていて、ケッコウ良い線いっているが、時々恣意的だったり浅はかな印象を受けるのが実に残念。それまで取り上げた問題までが怪しくなるのでホントもったいない。
さらについでに言うと、この番組ではマンション以外の近隣斜面緑地に擁壁が立てられ家が建っていることを紹介し、このマンションの敷地もそうなるのではと言っていた。
だったら、このマンションの住民、どういうつもりで緑地保全地区指定されていないことを嘆いたのか知る由もないが、敷地を開発して分譲すれば、仮に今後税金が上がったとしても管理費や税金分の収入になるかも知れないと思った。
勿論その場合は、自分たちの住環境保全のテクニックとして、開発した部分に地区計画をかけ緑を担保するのだ。自分の土地に対する自主的規制だから理論的に全く問題ないし、条例化すれば強固な規制となる。そこに移り住む住民は最初からそれが条件であるから文句を言われる筋合いもない。
最近よく、「街づくり」や「まちづくり」という言葉が目に付く。行政だけではなく、市民活動や商工会など、みなさん、街づくりを連発する。確かに街づくりは耳障り良い言葉だが、ホントに分かっているの?と言いたい。「街づくり」と「まちづくり」の違いというのも怪しい。
さも訳知り顔で専門家がハードが「街づくり」、それにソフトが加わって「まちづくり」というが、So what?だ。そんな言葉遊び、どっちでも良いが、少なくとも「街づくり」とは、建築が人間の器なら人間生活の器であり、建築単体はもとより、道路公園といった公共施設の建設、その計画から整備手法、財政、法制度、さらには国土計画や組織工学等々、ありとあらゆる広範な知識が必要なのだ。
だから、まちづくりの専門家と称するコンサルタントが数多いるが、少なくとも10年や20年ではとてもマスターできるものではない。かといって経験だけでもダメだ、何しろ法改正が頻繁で、都市計画法などちょっと現役から遠ざかれば、もうほとんどその知識は使い物にならない。
地方議会などで、よく都市計画に関するトンチンカンな質問があるのはこのため、役所のOBが現役時代の知識で物を言うからだ。おっとっと、お休みの日なのに、話が難しくなってしまった。まあ、今日のところは噂の東京マガジンがいつも良い線いっているのに、ハズしていることへのイチャモンというか、雑談ということで・・・・。
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