耐震偽装もメシの種、危機を煽る人、煽られる人
瑕疵担保責任を取ると言い続け、そのためには公的資金を借りて補強・建て直しをしたいと言っていたヒューザー小嶋社長だが、身ぐるみ剥がされ破産に追い込まれた。破産に追い込んだ被害住民は、これで満足したのだろうか。
耐震偽造:29億円を中間配当…ヒューザー破産管財人
<引用開始>
耐震データ偽造事件で元社長が詐欺罪に問われたマンション開発会社「ヒューザー」(東京都大田区)の破産管財人の瀬戸英雄弁護士は7日、耐震強度が不足しているマンションの購入者ら債権者に対し、約29億2200万円を中間配当した。
配当額は、配当対象の破産債権約194億8200万円の15%。強度が基準以上のマンション購入者や、支援策を実施した神奈川県藤沢市が配当を求めており、係争中の金額が約26億円あることなどから最終配当の時期や額は決まっていない。【高倉友彰】毎日新聞 2006年12月7日 21時52分
<引用終わり>
ヒューザー小嶋社長を破産に追い込んだ被害住民だが、
もっと追い込んだのは自分達自身ではないのか、そしてそれによって最も助かったのは国だ。ヒュザーは資金力もあり被害住民が国と戦うため最も共闘すべき当事者だったが、自らその可能性を断ち切ってしまったのだから。
ヒュザーが倒産したり、金を持ち逃げされたら手遅れになる、取れるうちに取っておこうと考えたのは、当時の状況では仕方ない面もあると思われる。何しろ一生の財産がただの粗大ゴミとなり、連日売主のバッシングだ。
売主がいくら責任を取ると言っても、マスコミは出来もしないことだと決め付け、さらに被害住民たちの不安を煽っていたのだから。
記憶では当時、小嶋社長が言っていた会社の資産は30億円位だったと思うが、ヒューザー破産管財人からの配当は、ほぼその通りの金額だ。
これに対して、小嶋社長の個人資産は5000万円余り、
<引用開始>
2006年12月28日09時33分asahi.com
耐震強度偽装事件に絡んだヒューザーや同社の小嶋進社長などの破産手続きで、第2回債権者集会が27日、東京地裁で開かれた。破産管財人の瀬戸英雄弁護士は、小嶋社長の個人資産が5337万9499円で、税金などを差し引いた現時点の配当原資が3852万6463円と明らかにした。
小嶋社長はヒューザーの損害賠償を連帯保証する意向を表明しており、債権額に応じて強度不足のマンション住民らに配当される見込みだ。
<引用終わり>
当時、連日のニュース番組では、30億円程度の資金では公的資金を入れても、瑕疵担保責任はまっとうできないと断じていたが、その根拠は全く無く、破産に追い込めば、資産以上の保障は絶対に出来ない。
こんなこと子供でも分る単純な引き算なんだが、目を三角にして集団リンチに夢中で誰も聞く耳を持たなかった。
2005/12/5果てしなき民族ヒステリーと公開リンチ(2)
あれから1年、人々の感覚も麻痺して関心も薄れた頃を見計らって、こんな発表がなされた。
<引用開始>
2006年12月27日22時52分asahi.com
国土交通省は27日、過去5年間に建築確認された10階建て程度のマンションを全国で無作為抽出して調べたところ、221棟のうち約7%にあたる15棟で強度不足のおそれがある、と発表した。基準を1とした場合、15棟はすべて0.9未満で、うち1棟は0.5前後とみられ、建て替えが必要とされる0.5を下回っている可能性もある。書類差し替えなどの明らかな偽装は確認されていないという。強度の確定にはさらに確認作業が必要だが、全国の新築中層マンションの数%が強度不足である可能性が浮上した。
国交省は、0.5未満は震度5強程度で倒壊の可能性があるため使用中止など緊急対応の必要があるとし、0.5以上1未満は改修で対応可能との見方を示している。
調査は、耐震強度偽装事件を受けて今年2月から開始。全国で01~05年ごろに建築確認を受けた10階建て程度のマンション(推計約7000棟)から無作為抽出した389棟が対象。同省外郭団体の日本建築防災協会で構造計算を再計算したうえ、非破壊検査で鉄筋の配置を調べたりコンクリートの強さを測ったりした。168棟はなお調査中。
調査済みの221棟のうち、強度不足のおそれが指摘された15棟については、構造計算書と設計図との不整合や、計算過程に不自然な点があったという。
同省は15棟が所在する自治体に報告内容を伝え、強度が満たされているかどうかの再確認を求めた。強度の確定には、設計した1級建築士らから設計の意図や計算の考え方を聴いたうえで、専門家で精査する作業が必要で、さらに3カ月程度かかるという。
同省は15棟の建物名や所在地を明らかにしておらず、住民にも強度不足の可能性を知らせていない。「正式確定後、通知する」としている。また、強度不足が確定した場合、設計した建築士らを処分する方針。
新たな強度不足の疑いが浮上したことについて、国交省は「疑問のある設計がなされ、建築確認されたことは遺憾。確定後、厳正に対処したい」としている。
<引用終わり>
オーマイガーッ。そして、耐震偽装は姉歯だけではない、こんな事件もしれっと報道され、誰も気にも止めない。
<引用開始>
2006年12月17日20時54分
札幌市の浅沼良一・元2級建築士によるマンションの構造計算書の偽造問題で、耐震強度不足が分かった同市内の分譲マンションの住民が販売元の住友不動産(東京)を相手取り、年内に購入代金の返還などを求めた訴訟を札幌地裁に起こす。浅沼元建築士による耐震偽装での提訴は初めて。
提訴するのは、04年に同市中央区に完成したマンション(15階建て、84戸)に住む11世帯14人。同社は販売の際、耐震基準を満たしていると説明していたが、5月の札幌市の調査で耐震強度が国の基準を下回る0.86と判明。これは消費者契約法違反(不実告知)にあたり、偽装した浅沼元建築士ではなく売り主の責任を問うことにしたという。1戸当たり2000万~4000万円で、総額4億1000万円になる。
さらに、同社が販売し、強度不足が判明した同市北区の別のマンション住民2人も、購入代金に加えて違約金の支払いも求めて提訴の準備を進めているという。
中央区のマンションに住む男性(40)は、同社から強度が1.89との説明を受け、約3000万円で購入したという。「同社はマンションを補修して強度を1.0にするといっているが、当初の説明と実際の強度がこんなに違うのは詐欺だ」と訴えている。
<引用終わり>
馴らされてるなあ、
この国の国民は。作為的事件が国家システムの不備で起きているというのに、まるで避け様が無い事故みたいに思わされ始めている。交通事故の死亡率何パーセントとは全く違うのだ。
随分昔のことだが、4車線道路に自転車が飛び出してきて、私の車に側突したことがあった。そのとき何処かのクソオヤジが、運転していた私が悪いとまくし立てたので、自分が悪いなら罪に甘んじるから、見たままを証言して欲しいと言うと、「いや、俺は見てない。自分の娘がタクシーにはねられたモンでよ」と言い、そそくさと立ち去った。ホントにクソオヤジだ、何と言う無責任かと思った。それはさておき・・・、
奇跡的にかすり傷ひとつ追わなかった子供を見て、後から追いかけてきた母親は開口一番「ブレーキの壊れた自転車に乗ってはダメだと言ったでしょ」と怒り、自分の非を認めたので事無きを得たが、散々世論を無責任に煽り、被害住民をパニックに陥れていったマスコミやそれに便乗した識者達を見ると、
あのクソオヤジを思い出す。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ヒドイ話ですね~。全く。
>「ブレーキの壊れた自転車・・はダメ」と・・自分の非を認めた
そうそう正直が一番です。自己批判が出来ることが成長のもとと、
孔子辺りも言ってタヨウな気がしますが・・。
君子は日に三省。何度も省みる、おのれの行ないを、でショ。
辞典出している出版社もある位、有名な言葉なのに・・。
ドコで、どうなっちゃタンでしょうね。
アメリカ風「訴訟社会」にもならず、儒教精神もない。
最低の組み合わせですね。これでは原始時代よりヒドイ・・。
ア、TB貼っておきます。少ししか扱ってませんが・・。
ではでは。
投稿: ivanat | 2006/12/28 23:53