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2007/02/18

日本のタブーと原子力

■日本のタブー

日本では、天皇制と靖国問題、憲法改正、原子力の話はタブーだと思う。良い悪い賛成反対以前に口に出しただけで攻撃される。加えて今のところ耐震偽装はタブーではないが、マスコミの扱いはタブーそのものだ。だが今日は耐震偽装の話ではない。このタブーの中にあって制度や思想信条では無い原子力の話だ。では制度ではない原子力を口にしただけで何故攻撃されるのか、恐らく唯一の原爆被爆国としてのトラウマなんだろう。原子力=原爆=大量殺戮の構図がアタマに浮かび、思考停止になるのではないか。

■原子力=原爆?

この場合兵器のイメージと結びついているのだろうが、同じ原子力でも、爆弾と発電は全く違う。クリーンなエネルギーを考えると原発は現状では最有力なんだが、そんなことを口に出した瞬間から攻撃を受ける。だから議論が先に進まない。

■原発がクリーンだが危険

原発がクリーンと言うのは、今のエネルギー消費維持と供給技術の範囲での、CO2排出抑制においてはとの条件でのこと、絶対的にはキケン極まりなく、排気ガスが出ないといってもメルトダウン事故の被害が環境に与えるダメージは想像を絶する。

■原発は議論できないタブー?

だからむやみに原発に頼ってしまい、太陽発電等の自然エネルギーや、バイオマス等の循環型代替エネルギーの開発をおろそかにしてはならないのは言うもでもない事なのに、そういう議論さえも出来ない、正に我が国における原子力はタブーだ。

■タブーが事実を分らなくさせる

タブー視する人々は、ある種の結論を信じていて、その結論意外は一切認めないぞとの強い決意を持っているようだが、その事が却って彼らが信じている事を分りにくくしてしまっている。

■目的不明の手段論議

例えば原発の是非を、環境問題から考えるならば、環境問題として解決しなければならない目的と課題を明確にして、その解決の手段として何があるのか、解決すべき課題の優先順位と、これに対する手段の効果と問題点をマトリックスで考えるべきはずなのに、いきなり手段の問題点ばかりを主張してしまうのだ。

■一面を評価し全体を論ずる愚

具体的に言えば、原発反対派の方は原発が潜在的に持つ、放射能汚染の危険性を声高に言う傾向があるが、そんなことはほとんどの人が分っている事ではないだろうか。包丁で人を刺したら死ぬであろう事もほとんどの人は知っているが、そのことをもって包丁はキケンだ使ってはイケナイとは普通言わないだろう。

それは、日常的に皆が使って生活をしているからで、ことさらに意識しなくとも、自分のミスで指を切ったりして、経験的にキケンではあるけれどそれは、使い方や使う人間の資質の問題であると理解しているからだ。

だから、子供や頭のおかしい人間には包丁を触らせないが、包丁を棄てしまったりはしない。そもそもコンナ事をことさら説明するまでも無く、手段や道具とは、それらが持つ有益性の機能と危険性を比較し、使い方によって有益性が危険性を上回るから存在しているのである。日常生活のことならば、こう言った一面を評価し全体を論ずる愚は犯さないものだ。

■有益性と危険性のバランス

もっと言えば、有益性より危険性が上回れば当然そんなものは、不要となってしまうか、必要ならば全く別の価値をつけられる。日本刀などはその良い例だろう、刃物としての切れ味即ち性能よりも、そのことを付加価値の説明としてもっぱら美術品としての価値が重視されている。

人を殺す道具としての性能は、カラシニコフの方が遥かに高く、それでいて価格は遥かに安いのだから。ところがこういうたとえ話をすると、殺人を容認するのかと、いきなりヒステリーを起こす人がままある。相手が何を言っているのか、文脈を理解せず、「殺人」という単語に反応してしまうのだろう。

■単語に反応?

実は、日本における原子力論議は、これに近い。環境問題から地球環境を守る手段として、原子力の是非を議論しようとしても、アナタは放射能汚染を容認するのかとなってしまい、全く議論が先に進まないのだ。

■本当に原発は必要か

では実際のところ、どうなんだろうか。拙ブログでも、CO2削減策としては究極のクリーンエネルギーとして原発以外に解決策はないと言い続けているが、私自身この主張が絶対正しいとは思っていない。現状で知る限りの知識でそう結論付けているだけで、判断の前提となる知識が違っていれば当然にこの考え方も修正が必要になるのだ。何より原子力は怖いし有益性より危険性が勝ることが分れば反対したいくらいだ。

■原発不要論の要諦

どういう場合に原発不要論になるかと言えば、必要論の根拠を否定する事実が明らかになった時だ。必要論の根拠はなんと言ってもCo2を排出しないことだが、原発反対派のホームページを見ると、原発は、火力と比べて、同じ発電量を発電するのに、総トータルで石油を多く消費しているなどと書いていたりして、思わず吹き出してしまう。

■信憑性が低い原発不要論

木を見て森を見ないというか、一方では原発は経済性優先でケシカランと非難しているからだ。原発が経済性優先なら、火力以上に石油を消費するはずが無く、火力以上に石油を消費してでも原発というなら、経済性以外の理由があったということではないか。表現上のテクニカルな問題があるのかもしれないが、こういう非難はお粗末で、感情的印象を与えてしまい信憑性が一気に無くなる。

■自己言及の論理矛盾

原発建設に係るエネルギー消費等まで含めて火力に置き換えてのことなんだろうが、全てが原発になって、内燃機関も電気になれば、その理屈は成り立たない。自己言及の典型的論理矛盾だ。

■原発反対に望まれる論理

だから、こう言った稚拙な論理展開ではなく、原発を否定するならば、他のCO2排出しないエネルギーを提案し、先ずそれが原発以上に安全である事、次に経済性においても勝る必要は無いが少なくとも遜色ない事を証明しなければならない。

Co2削減の視点から言えば、以上の通りだが、原発を否定するならまだ、手はある。それはこの視点自体を否定することだ。つまり地球温暖化が危険ではないことか、温暖化の原因がCo2ではないと証明すればよい。しかし前者については、これを否定する理論は余り見ないから、やはり地球温暖化は共通認識として危険なんだろう。

となれば、Co2がはたしてその元凶かと言う疑問だ。実際、Co2が地球温暖化の原因かどうかについては懐疑的な学者も少なくないのだ。実はかのラブロック博士でさえ、軽々しく飛びつくな冷静になれと警告している。(但し、ラブロックは、Co2のことだけを取り上げているのではなく、地球の大気組成の意味合いのことを言っている。)

そこで、原発反対派の人々は、CO2が地球温暖化の要因ではないから、うっかり原発を蔓延させ事故が起こったら取り返しがつかないと懸念するのだ。こういう意見、あっ、もしそうなら大変だと思うから私は好きだ。だが、まだ、あっそうかとは思わない。

■必要な検証

ならば、その事を先ず大々的に検証すべきだと思う。Co2犯人説が正しければ原発が必要だし、犯人でなければ、不必要に原発の危険性を増大させるだけで、問題が解決しないから、原発賛成反対以前の大問題だからだ。

■覚悟と責任を持った主張か

本当に、温暖化の原因が、温室効果ガス特にCo2であるかないかを含めた原因の特定が、なされていないとすれば、そして温暖化で人類が滅亡の危機に瀕しているのなら、原発云々どころではないのだ。Co2犯人説を否定する人々は、その事を理解し、覚悟と責任を持って主張しているのだろうか。

■手段先行の議論?

事は、原発云々ではない、あくまで原発は温暖化の原因がCo2とした場合の治療手段に過ぎないからで、どうすれば温暖化を防止できるかが問題だからだ。もしも、ただ原発を阻止するために、Co2犯人説を否定し、やはり犯人はCo2でしたとなれば、人類全部を破滅に危機に追いやる事になるのだ。逆も同じだ。

今、人類滅亡の危機に瀕しているのに、その原因すら掴めていないとすれば、その対策を原発が良いの悪いのあれこれ論じる事自体、瀕死の患者を前に原因を調べもせず、何処を切るかどんな薬を飲ませるか議論するようなもの。手段先行の議論では間違いなく患者は死ぬだろう。

■本当に必要なこと

だから 今本当に、必要なことは原発の是非ではないのだ。もし本当に地球温暖化の原因がCo2ではないのなら、その事を全世界が真剣に研究するよう働きかけ研究することだ。

では、好き嫌いや何らかの理由で、Co2犯人説を否定する理論が本当に無視されているのだろうか。ココが先ず分らない、研究した結果や学説が、正しいならば、例え素人に理解できなくとも、ネットで公表するとかしないのだろうか。

別に、ネイチャーに発表しろとは言わない、そう言ったCo2以外に温暖化の原因があるとする根拠を公表し、これが学説として信憑性があれば、世界中が無視したりするだろうか。日本国内の耐震偽装でさえ、どんなにマスメディアが無視しても、ネット上では無視し得ない事件となっているのだ。

■知りうる事実

今、自分が知りえる限りにおいては、Co2が温暖化の原因とされているし、第一違うならば、京都議定書の反対のアメリカは真っ先にこの事を大々的に広め反対キャンペーンを張っただろうとも思う。

原発反対をむやみに否定はしないし、賛成を絶対とも思わないから、反対なら反対の根拠を明確にし、議論できないものだろうか、このことを原発反対派の人々に求めたい。そして議論すべき事は、原発賛成か反対ではない。コンナ危険なものは無くて済むなら無い方が良いに決まっているのだから、地球環境を守るのに何が必要かを明らかにし、そこからどうすべきかを議論したい。或いは、こちらが知らないなら正しい知識を教えて欲しいと願うのだ。

■環境問題は宗教論議ではない

環境問題は人類が生存しつづけられる具体的方法論の話なのだ。原発賛成でも反対でも良いが、その事を目的としてさして根拠も無く、発言し、行動するならば、その心根は罪が重い。

環境問題はイデオロギーや宗教論議をしているのではない。

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コメント

BT様、コメント有難うございます。

>現状唯一確実なのはCO2が急激に増えているというデータのみです。

そうですね、何十億年もの間、太陽エネルギーがどんなに変化しようとも、大気中のCO2濃度は、0.03%のままほとんど変化してません。正に地球のもつホメオスタシスの神秘ですが、これが近年急激に変化しているのは事実です。

軽々しく断定は出来ませんが、少なくともコノ事実には注目すべきだと思いますね。
今後とも、よろしくお願いいたします。

投稿: ベンダソン | 2007/02/20 13:51

いつも興味深く読ませてもらっています。

温暖化の問題はいろんな議論があって、どれが本当なのかわかりにくいのですが、整理しないといけないのは、

(1)本当に温暖化しているのか?
(2)しているとして、その原因は何か?
(3)温暖化したとして、果たして害なのか?

というところでしょう。現状では、どれもよくわかっていないようです。
もし温暖化がまぎれもない事実であり、さらにその原因が人間が輩出するCO2であるということがある程度確からしいなら予防的な措置として原発の積極的な推進は有効だと思いますが、現状唯一確実なのはCO2が急激に増えているというデータのみです。ただ、それも人間の排出が原因かどうかはよくわかっていません。こんな状態では、その対策として原発が有効かどうかすら議論できないのではないかと思います。もしかすると全然見当違いの対策である可能性すらあります。

ネット上で読んだ話なので確実とは言い切れませんが、水蒸気に関して言えば、温暖化に与える影響からいうとCO2よりははるかに大きいようです(全体の90%以上とのこと)。ただし、人間が出す水蒸気は無視できるほど少ないそうですが。これが事実だとすれば、(CO2であれ水蒸気であれ)原発の存在はほとんど影響ないということになりますし、あれほど騒がれている人間の出すCO2も大した問題ではないということです。
とすると不思議なのは、何故CO2が増えているのかということです。
これについては特にデータがなく推測になってしまいますが、伐採による森林面積の減少等でCO2の吸収源が減っているというネット上で読んだ説に説得力があったように思います。つまり排出ではなく吸収側の問題ということです。もし、そうであれば有効な対策は、植林ということになります。

これらも仮定に仮定を重ねた話ですので、正解かどうかはわかりません。要は有効な対策をうつにはまずはきちんと研究をして、最初に挙げた事をある程度はっきりさせてからでないと議論にならないということです。少なくとも現段階では原発と温暖化は直接リンクはしなさそうです。

こう書いておいて何ですが、私自身は原発に対してはニュートラルか若干肯定派です。それはCO2対策ということではなく、資源の枯渇、特に石油の枯渇を後送りするためには重要だと考えるからです。いよいよ石油の生産量がピークをつけたのではという議論が出てきたり、先日も金属類があと50年というニュースが出てましたが、資源の枯渇はそろそろ現実味を帯び始めています。他にも緑地の減少による食料問題など、解決困難な問題がたくさんあります。人類の存亡にとっては、温暖化よりも前にそれらの方が時期的には先で深刻だと思うのに、騒がれるのは温暖化ばかり。まあ打てる手は少ないとは言え、少し優先順位というかバランスを欠いているのではという気がします。

投稿: BT | 2007/02/19 18:38

スパイラルドラゴン様、コメント有難うございます。

地球温暖化対策の推進に関する法律施行令
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11SE143.html
この第四条に示されている温室効果ガスの区分にも水蒸気の記述はありませんので、水蒸気が温暖化の原因の可能性があるとは存じ上げませんでした。

もし本当なら、おっしゃるように至急シミュレーターで検証し、上記法の改正も検討すべきでしょうね。

ただ、それ以前に、素朴な疑問があります。原発の水蒸気は特別なものではなく、H2Oに過ぎません。そして原発が排出する水蒸気は冷却で沸騰した水だけであり、これに対し大気中の水蒸気は水面や地表面特に樹木から大量に蒸発しており原発の比ではありません。当然に、この水蒸気は上空に行くと雲となり雨となって地表に戻ります。

素朴な疑問とは、
① このサイクルを飛び越えて、成層圏に到達する水蒸気が増加しているのか。或いは常時大気中に浮遊する絶対量即ち湿度が上がっているのか。
② 仮にそうだとしても、計算するまでもなくそこに原発から排出される水蒸気量の比率は、10のマイナス何十乗何百乗のオーダーのはず。はたしてこれが議論の対象になるのか。
③ 既に地球は温暖化しており、これにより蒸発する水蒸気の量は、原発排出水蒸気量の比ではないはず。世界中の原発を停止しても測定限界以下の影響しかないのではないか。
④ CO2等の温室効果ガスは無色透明で特定波長の光の透過に影響があるが、上空にたどり着く水蒸気は、これらと違って雲となり光を遮る。確かに長波長の赤外線等は透過し易いが透過光の絶対量は減るので、地球は冷却される。よって水蒸気が温室効果ガスであるとするならば、温室効果によって増大した水蒸気が雲となって、太陽光を上空で遮り地球を冷却するパラドックスが生じる。
⑤ もっと根本的な疑問・パラドックスは、大気中の水蒸気量が増えれば湿度が上がり、雲が出来易くなって雨となって地表に戻るので大気中の水蒸気は減る。地球の大気圧が増大しない限りこの調整機能は働き、水蒸気が地球温暖化の原因とするには、物理化学の初歩的な論理矛盾がある。

等々幾つもの疑問が浮かびます。第一水蒸気が温室効果ガスならば、先ずは水蒸気発生防止策が論点ですから、そもそも原発が排出する水蒸気量を議論している場合ではなくなり、木を切り倒し砂漠化を推進したり、水面を覆って水の蒸発を防がなければなりません。

しかしそうなると、地球の大部分の酸素を供給している珪藻類が死滅し、当然に生物も死滅します。ですから私には、シミュレーターで検証するまでもなく論理的に推論するだけで無理があるような気がするのですが・・・。

だからといって、こうした疑問も私の無知から来るものかもしれませんので、水蒸気説を言下に否定するつもりはありません、私の無知ならば簡単に論破できるでしょうし、その上で尚、水蒸気が温暖化の原因である可能性が高いならば、原発の是非以前に、このことを検証すべきでしょう。

原発の是非はその検証の結果、水蒸気が温暖化原因と分った場合に、地球全体の水蒸気量に対する原発排出水蒸気量の比率の評価を検証してからの、議論になると思います。当然にその場合は原発だけが論点ではなく、水蒸気抑制が論点ですから、原発の是非に関する議論は優先順位が相当に低くなるでしょう。

とまれ、何かを決め付けるのではなく、こうした議論をする事が大事かと思いますので、スパイラルドラゴンさんのようなご意見は貴重なもの、歓迎いたします。

取り急ぎ
よろしくお願いいたします。

ベンダソン 拝

投稿: ベンダソン | 2007/02/19 11:03

こんにちは。
一応、エネルギー問題の専門家としての意見を申し上げます。
原発推進論者が見落としている・無視している、原発稼働時に排出する「温排水=水蒸気」は、立派な温室効果ガスの一種であり、意外と二酸化炭素よりも、地球の温室効果が高いかもしれません。
本当ならば、我が国が誇る「地球シュミレーター」を使って、現在稼働中の全ての発電所を「原発」に置き換えた場合に、原発から排出される「温排水=水蒸気」の、地球温暖化へ与える影響データも検証すべき重要項目だと思います。

投稿: スパイラルドラゴン | 2007/02/19 00:43

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