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2007/05/16

多数決のパラドックスと美人コンテスト

Pict01 少しヒマになったので、何気に拙ブログへのアクセスを調べてみた。ココログは妙に機能が限定されている割には、アクセス解析が物凄く詳しい。で、どういう人達が読者なんだろうかとホストを調べたら、一般のプロバイダは上4位まで、後はほとんど独立系のホストばかりだったのはビックリ。

あ、今これを読んでるアナタ、勤務時間中じゃない?上司にみつからんように。あと以外に多いのが、大学。どうも東大を始め、国立系が多いようだ。変わった所ではUCLAというのがある。多分留学生が自分のPCに日本語OSを入れてアクセスしているんだろう。

アクセス推移を見ると、毎日トンでもない時間に山が有るのは、タブン海外からのアクセスなんだろう。そんなに遠くからご訪問いただくとは、ありがたいことです。(ってインターネットだから関係ないか)

浮かび上がる拙ブログの読者像は、どうもインテリっぽい。ま、確かにこんな屁理屈だらけのブログにアクセスするなんて、読者の方も相当に理屈っぽいに違いない。

とゆーわけで、今日は暇つぶし読者サービスとして、屁理屈のお話をしましょう。言ってみれば詭弁論理学に属する話であるが、昨日の国民投票に引っ掛けて、多数決のパラドックスだ。深遠なるも、実に奇妙な話である。では、・・・・

順位日本人中国人米国人

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日本人、中国人、米国人の3人の審査委員による、美人コンテストが行われたとしよう。最終審査に残ったのは各国の美女A嬢~G嬢の7人。審査委員の評価を表にすると上の通りで、必ずしも一致しない。

そこで、多数決によって決める事にした。当然だ。しかしこれだけの美女が一同に会すると、さすがに美女を見慣れた審査委員も、迷い始めてしまった。そこでじっくり2人づつ比較し勝ち抜きで選ぶことにした。これなら迷いや間違いも無く確実と言うわけだ。

具体的にはA嬢対B嬢で審査し、勝者は次にC嬢と審査、次にD嬢と、と勝ち抜きで順にG嬢まで審査するわけだ。

では、まずA嬢とB嬢の審査から行こう。表に有るとおり、日本人はB嬢よりA嬢が好みだが、中国人と米国人はB嬢。やはりガイジンは噴火肉弾がお好きなようで・・・と言うのはこの際置いといて、そんな訳で1対2でボインのB嬢の勝ちとなった。

次に、B嬢とC嬢の対決だ。表を見ると、日本人=C嬢、中国人=B嬢、米国人=C嬢であるから、途中で気が変わらん限り、当然C嬢が勝つ。これを続けていくと、G嬢が最後に残る事は直ぐお分かりいただけるだろう。表で確かめていただきたい。

でも、表全体をみると、各審査員のG嬢の順位はいかにも低いので、なんか変。

と言う訳で、多数決のパラドックスと相成った次第。民主主義の根幹を成す多数決だが、絶対では無いという事を検証してみた。そして投票行動や印象に何ら操作を加えず、投票者の意のまま自主性を重んじながら、恣意的に結果をコントロールできる事も。

で、こういう現象は机上の空論ではなく、実際に良く起こっているのではないだろうか。例えば、コンペなどの審査だ。自分が論文やコンペの審査を依頼された時、思ったのだが、突拍子も無く突き出た作品が無い場合、必ずしも優秀なものが1位とはならないのだ。

結果、中庸を行く無難だが面白くないものが選ばれる事がよくある。後で聞くと他の審査員も同じ思いをしているのだ。お互いイチオシが違うので票が割れたとしても、1位に選ばれたものが、各審査委員の中で次点付近に評価されているわけでもない。この美人コンテストの例のように、審査員全員の共通評価としてもっと上がいたりするのだ。

恣意的に投票をコントロールしているとは思えないので、以前から不思議に思っていたところ、数年前、論理系の本(書名失念)に類似例を見つけ、これかあと思った次第。そして、この理屈を発見したのはノーベル賞学者アローと記憶している。

そこでネットで検索してみたら、ノーベル経済学賞受賞者ケネス・アロー(1921-)は、アローの定理(Arrow's theorem)として、社会的選択に関する最も重要な定理の一つとして多数、紹介されていた。だが、こういう形の紹介はあまりなかったので、拙記事がアロー理論かどうかは自信が無い。タブン、その辺は読者諸兄の方が詳しいだろう。

ま、なんだって良いけれど、一見もっとも民主的に見える多数決にも、こういうパラドックスが有るという事、そしてやりようによっては、一見自然に見せながら表決をコントロールでき得る事をご理解いただければと思う次第。

ネット上ではよく、アローの定理の最もよく知られている適用例として、フランスの数学者兼社会理論家のコンドルセ(1743-94)が発見したとされる選挙のパラドクスが挙げられている(時系列が逆だが、理論が後ということだろう、本質には関係ないから深く考えないように)。

だが、こちらは、本稿とは違い3者の評価順位循環すると、表決が循環してしまい決が見出せないと言うもの。興味のある方は検索してみてはいかがだろう。

<本日は以上>

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