R134の話
R134と言えば、皆さんは何を思い浮かべるだろうか、私のバヤイは、ほぼ条件反射的に代替フロン。でも、これってよほどエキセントリックあるいはマニアックな話なんだろう。タブン私と同じ反応をする方は、環境問題特に大気質に関心有る方か、メカ好きな旧車マニアだろう。
何故こんな話をするかと言えば、↓のエントリーのコメント欄でお分かりかと思うが、我が敬愛すべき悪友のHNであるR134を、ROOT134の略とは知らず、代替フロンと勘違いしてしまったことから。R134氏が詳しく教えろとコメントしてるので、ここでチョイト解説をしよう。R134君、感謝したまえ。
ま、しかしR134を国道134号であると、直ぐにピンと来るってゆーのも、これまたロコには当然でも、特殊な感じがするから、どっちもどっちだな。かく言う私も、実はかつては毎週のように国道134を利用してサーフィンに出かけてたけれど、ついぞ思い浮かばなかったのだから。
さて、このR134、簡単に言えば、フロンR12の代替フロンのことだ。つまり、これカーエアコンの冷媒の話。90年代になってから、R12がオゾン層を破壊するからと禁止になって、R134に変わったのだ。
確かにオゾン層破壊にはならないが、温室効果ガスではあるので、いづれ問題になるだろう。というか、意識有るところでは既に問題になっており、いづれコレも法で禁止されることは間違いなさそう。
ここで簡単に整理しておこう。オゾン層破壊の問題から、1985年に「ウイーン条約」1987年に「モントリオール議定書」が採択され、国際的にオゾン層破壊フロンの生産・消費の削減が求められた。
その中で、自動車のエアコン用のR12ことCFC(クロロフルオロカーボン)は1996年全廃、空調機用のR22ことHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は2020年全廃予定となっており、代替フロンとして分子中に塩素を含まずオゾン層を破壊しないR134ことHFC(ハイドロフルオロカーボン)が開発・生産され、消費の移行が推進されてきたのだ。
ま、普通ミナサンが乗ってる車はこれだ。但し、HFCもオゾン層は破壊しないものの、温暖化係数が高いため温暖化ガス規制対象であり、CFC・HCFC同様回収・再利用が必要なので、コレがチトやっかいと言うわけだ。
環境に関心ある方は、概ねこういう認識だろうか。で、もう一方の側面であるカーエアコンの冷媒である点は、旧車マニアにとっては、アタマの痛い問題だ(った?)。ホイホイ新車に乗り換える方たちにはトンと何のことか分からないと思うが、古い車はR12仕様なので、冷媒が抜けるとレトロフィットキットでR134仕様にする必要がある。筆者は6・7年前にBMWでコレをやったら20万円ふんだくられ、ぶった曲げた。
余談だが、筆者はBMWを2台乗り継いだけれど、世間の評判とは裏腹に、目に付きにくいところのチャッチさや、電装系の品質の悪さになじめず、今はアンチBMW派だ。で、嫌気が差して、20万円かけてエアコンを直したばかりのBMWを売ったら、5万円にしかならなかった(涙)。
余談ついでに言うと、ベンツは実に良い。年式は4年ほど件のBMWより新しいが、ほぼ同時期に売られていたW124という型。コレは名車の誉れ高いが、正にその通り。既に車齢13年走行17万キロでも、びくともしないし、ほとんど自分で治せるので経費も安い。実感としては税金と燃費を除けば軽より維持費は安いのではと思う。
で、筆者の場合は旧車マニアというより、ビンボーなので新車が買えないだけ。別に好き好んで旧車に乗ってるわけではないが、値落ちのした旧車ならたとえ高級車でも気楽にいじり倒せる点も捨てがたい。そう、私は超好奇心旺盛で、子供の頃からのメカマニア、今もって、何でも分解しないと気がすまないのです。
何でも分解は、機械に限らず理屈もそうだ。論理構成がメカニカルにカチッとするまで、ばらばらにしてしまうから、時として私と議論する人は発狂してしまうようだ。おっと、脱線、先を行こう。
どこまで言ったっけかな、そうそう、旧車のカーエアコンだ。で、R12仕様のエアコンにR134を入れるとどうなるかと言うと、パッキン等のゴムが侵され冷媒が漏れるらしい。と言うかそもそも冷媒の補充バルブの径が違うから入らない。
そこで、旧車はR134仕様に変えるか、R12を手に入れるしかない訳だ。このR12は製造禁止後も普通に手にはいっていたけれど、有る年から入手困難となって闇ルート(?)価格みたいにベラボーな値段になっていた。
けれど、それも2・3年前だったろうか、R12仕様のまま充填可能な代替フロンが出てきたように聞いている。(←詳しくは知らないが)。だから今や、旧車マニアにとっては、このエアコン冷媒問題はそれほど深刻な問題ではなくなったようだ。
ところで、カーエアコンは、わが国の気候では、絶対不可欠な装置なんだが、なぜか解説書の類が無い。オートメカニックといったメカマニア向けの雑誌でも、あまり詳しくは解説されてない。
で、好奇心旺盛なる私は、いろいろ探したけれど、結局アマゾンで入手した鉄道ナントカという解説本に行き着いた。でもこの本、中身のイラストは30年前のまま、おまけ程度にR134の解説があっただけだった。
それでも、一応のカーエアコンの原理が分かると、ずいぶんと今まで思い違いをしていたことに気が付いた。やはり正当な知識はどんな場合でも必要だなあと思った次第。たとえば、ミナサン、エアコンの冷媒は多い方が利くとお思いではないだろうか。コレはとんでもない間違い、
下手をすれば冷えないばかりか、管が破裂する恐れがある。リキッドタンクの窓から冷媒の泡が見えるか見えないかで冷媒の過不足を判断するというのも、今やR134ではほとんど当てにならない。
冷媒の過充填で冷えないのを、不足と勘違いしてさらに過充填してしまうと、いったい何故冷えないんだとなる。もっと面白いのは、冷媒量と外気温度の関係。これ調べるまでまったく分からなかったけれど、その原理は目から鱗の知識だった。
私はそれまで、冷媒が抜けても、抜けたなりに弱くなってエアコンは効いていると思っていたが、実はそうではなかった、冷媒が抜けてもエアコンとして機能するのは、弱く圧縮された冷媒でも液化して熱交換が出来るくらいの外気温の場合で、外気温が高温になってしまうとまったく熱交換ができなくなり、エアコンが効かないのだ。夜になると冷えてるエアコンだから、昼間も多少は利いているだろうと思うのはマチガイという訳。
という訳で、だんだん、話がマニアックになってきたのと、忙しいので、本日コレまで。
↓ ↓ ↓
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
R134さん、ども。
アナタの場合は、アウディが似合いそうだけど、どちらにしても新車ばっかりで、アラが出る前に代えちゃってるからね。まあ、人好き好きだけど、一度ベンツを試したら?
たぶん、ベンツ党の人種に拒否反応があるんだろうけど、EとかCにはヤーサンは乗らないから、このヘンがお勧めかな。良い悪いは別にして、車を判断するメートル原器として一度は体験する価値ありです。
投稿: ベンダソン | 2008/02/07 10:50
ベンダソンさま
ども。悪友のR134です。ちなみにBMWを三台乗り継いでいる大のBMW党です。
このたびは懇切丁寧な解説をいただきありがとうございました。たいへん勉強になりました。
しかし環境問題とは思いも及びませんでした。もしかしたら「134歳未満閲覧禁止(R指定)かよ!」というツッコミはあるかもしれないとは思ってましたが。
投稿: R134 | 2008/02/07 00:18