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2008/07/30

短期連載プロット「終わりの始まり」~滅亡のシナリオ(完)

北朝鮮の崩壊は、世界中に飛び火した。日本では格差社会がますます広がり、生活保護も受けられない人々が巷に溢れた。かつてはネット難民などと言われていたが、そんな生易しい状態ではなくなった。ネット喫茶に行ける者は下流の中の上流であり、食べるという最低限度ことさえままならなくなった人々は、各地の公園や河川敷に住みついた。

いわゆる浮浪者だが、若者が少なからず目立った。また年金制度は完全に破綻してしまい、政府はなんだかんだ適当な理屈を付け国民を欺きとおした。当然、彼らにはエアコンが無く、この年の熱波は、栄養失調で弱った彼らを容赦なく責め立て、飢餓と熱中症でバタバタ死んでいった。

そんな状態の中、北朝鮮の混乱が飛び火してきたため、それまで、どんなに政府の無策で虐げられても、おとなしかった国民だったが、いよいよ生命の危機に瀕して、ついに爆発した。

怒りの限度を超え、死に直面した人々は、追い詰められた暴徒と化して、各地で店舗を襲った。最初はコンビニやスーパーだったが、暴動はさらにエスカレートし、銀行や裕福そうな家々までもが襲われ、金品略奪や暴行が横行した。

これに追い討ちをかけたのが、石油の輸入停止だった。タダでさえで中東の油田が涸欠していたところに最終戦が勃発したため、全く石油が日本に入って来なくなったのだ。また異常な高温は、ダムの水位を下げ、各地で水不足が深刻になった。

かろうじて原発による電力供給は続いていたが、水不足はどうにもならず、各地で地下水源確保が急ピッチで進められたが、長引く建設不況でボーリング業者は少なく、とうてい需要には追いつかなかった。

公共の水源がダメと分かり、人々は各自が浅井戸を堀り、水を確保したが、これが原因で汚染地下水による伝染病や中毒が蔓延した。

このようにして熱帯から亜熱帯地域までの国々は、気候変動によって、ほぼ壊滅状態となっていた。また南緯北緯それぞれ40度付近までの地域は、深刻なダメージを受け国家としてほとんど機能しなくなっていた。

このため、最終戦と思われた中東戦争だったが、周辺諸国は壊滅状態に追い込まれており、加えて圧倒的キリスト教系国家の武力によって、制覇され、戦火は中東以外にはそれほど拡大しなかった。

ただ、その戦争形態は従来と全く異なり、原爆の大量投下による、圧倒的な殲滅戦争だった。第二次大戦以後、世界の火薬庫と言われてきた中東地域だったが、爆発した火薬庫はイスラエルもアラブ諸国も吹き飛ばした。

結果としてやっと中東地域に平和が訪れたものの、放射能で汚染されて全ての生物が死に絶えた砂漠と化していた。だがどの道、熱帯から亜熱帯にかけての地域では、電力供給無しに自然のままでは人類は生存できる状態ではなくなっていたから、放射能で汚染されても、あまり影響無かった。

再び、日本に目を向けると、暴動と伝染病による無政府状態から、遂に原発も停止してしまった。電力供給がストップしたため、エアコンも効かず、水も無くなり、平野部の生活は灼熱地獄となった。高地部に逃れた人々も食糧難に喘ぎ、北海道を除いて極わずかの人々だけが生き残った。特に沖縄では、石垣島から沖縄本島まで、全地域が灼熱地獄となって全ての人々が死に絶えてしまった。

ほとんど、人類が滅亡しかけたとき、世界の勢力圏は大きく変わろうとしていた。サウジ、ロシアに次ぐ石油輸出国であったノルウェーは、熱波の被害も無くむしろ地上の楽園と化していた。その上、自国での石油需要は減り、輸出する余力はさらに高まった。

輸出先はそれまでの、イギリス、オランダ、フランス、ドイツ、アメリカに加え、世界中から引っ張りだことなった。ノルウェーはEUのみならずOPECにも加盟しておらず、北海油田を有する世界の主要産油国だ。ノルウェー国王は、ここに世界の国王とまで揶揄されるようになった。

同じく熱波の影響が少なかったロシアは、世界一の産油国となり、世界の3大メジャー、エクソンモービル(米)、BP(イギリス)、ロイヤル・ダッチ・シェル(オランダ)のうち、生き残ったのはロイヤル・ダッチ・シェル(オランダ)だけだった。

アメリカは、依然として大国では有ったが、資源大国ではなく、これら北欧諸国が世界の主導権を握った。もはや地球温暖化どころか、熱波が定常化した地球では、文明の中心は北欧となった。

アメリカは飛び地であったアラスカが主となり、北欧諸国の他に、世界で国家体制を維持しているのは、カナダ、アルゼンチン、南アフリカなど、極わずかとなった。人類の相当数の滅亡と石油メジャー資本の凋落は、皮肉な事に、エネルギー消費量の激減とともに、安定供給を生み出し、ここに新たな人類の再生が始まった。

石油は、生き残った人類には充分な量があったが、自然エネルギーへの転換は人類存続の条件として共通認識されていたので、次々とダムや風力発電、太陽電池に転換されていったが、その効果が現れたのはそれから数世紀後のこと。

かつてコロンブスがアメリカ大陸を発見した1492年から1000年後の2492年になって、温暖化が収まったアメリカ大陸に、北欧諸国が移住し始めた。かつてインディアンを滅ぼしたアメリカ合衆国国民の末裔は、文明から取り残された第二インディアンとして駆逐された。

日本では、北方からロシア人が入植し始め、北海道では摩擦があったものの、元々軍隊が無かったため、抵抗するすべも無く、たちまちロシアの領土に組み込まれた。同じように中国、韓国もロシア領となり、世界の人口のほとんどは北欧民族となった。

アラブ系、東洋及びアフリカ系民族は少数民族となり、1000年を経た後、ドバイのアラビアンタワー、東京都庁舎などが、少数民族の文化遺産として世界遺産登録された。

アラビアンタワーでは、チベットに逃げていたアラブ人をガイドに仕立て上げ、極わずか生き残った日本人は、怪しげな和服を身にまとい、都庁で観光ガイドをして生計を立てていた。

後記:めんどくさくなったので、この辺で完としますが、皆様いかがでしたでしょうか?まあ、荒唐無稽なB級SFでは有りますが、直近の問題として日本の農漁業生産が危うい部分は、結構リアリティあると思っています。原油高が漁業を圧迫していると言われながら、さほど魚は高騰もせず、また農業生産においても値上がりどころか、逆に安くなっている物もありますから、ピンとこないのも事実。

でも農業生産は野菜だけではありません。畜産農家は飼料を買えずに生産減となって、この影響はタイムラグがありますから、現象として国産牛が食卓から消えるのはまだ先の事。このまま杞憂に終われば良いのですが、本稿の予測が当たったなら、それは全て政府の無策のせいといえましょう。

原因と結果にタイムラグがある場合、なかなか問題を把握しにくいようです。1~2年で影響が出る事でさえそうですから、10年20年或いは50年100年の単位となればなおさらです。環境問題がまさにそれですが、確実に現象は現れているはずです。

その現象に、目を瞑るか、目を見張るかは、それぞれのメンタリティの問題ですが、目を瞑っても見張っても、現象は進行します。自己の主張や信じる事が、現象の認識より先行してしまうと、現象を的確に把握する事が出来なくなって、虚構の世界に迷い込んでしまいます。

厄介なのは、自分の中では、その虚構が真実の世界なので、どんなに現象が現れても、もはや現実の現象が見えなくなってしまうことです。こうなると、常に信じる処すなわち答えが先にあるため、議論はまったく意味を成しません。

この辺りを、比喩的に表現しているものに、映画マトリックスが有りますが、もっと直接的で分かり易い比喩としては、ビリーバーズという映画がありますので、一度御覧いただく事をお勧めします。

では、また。

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