真面目な歌唱コンテスト?
オリンピックで沸いている中、ほとんど、どーでも良い話なんですが、昨日深夜番組見てたら、和田アキコが審査員になって、デュエットする相手を探すコンテストみたいな事をやっていた。で、これ実にイイですよ。
何がイイかというと、出場者に対する和田アキコの批評、これが実に的確で真面目なんだな。言ってみれば、素人さんの勝ち抜き歌合戦なんだけれども、大体において日本のこの手の番組では、歌唱力のコンテストと言いながら、歌唱力とは全く関係ない価値観が必ず入ってきて、しかも本筋じゃないそちらの方が大勢をしめるので白けてしまうのが常だ。
例えば、必ずあるパターンが、オトナの中に子供の出場者が入ってきて、あらまあカワイイってなもんで高得点を獲得する構図だ。これは歌番組に限らずほとんどの素人参加番組でも常で、関係者は、ほほえましい光景を演出してるつもりなんだろうが、だったらそういう番組として最初から創れよと思って、ホント白けてしまう。
番組の名は、アッコとデュエットとかなんとか言う番組(何気に見たのでよく分からん)で、恐らく番組のプロデューサーも、子供とか何か因縁を背負ったような人が出場したら、まあカワイイとかお涙頂戴なんかを期待してたのかも知れない。
ところが、和田アキコがやたらシリアスな評価をするので、お笑いタレントの司会者が適当に突っ込み笑いを取りながらも、素人喉自慢大会としては実に的を得た的確な批評が番組のグレードをかなり上げていたように思う。
和田アキコ自身は、時折自分でも真面目すぎると思ってか、歌の事になるとワタシは真面目になっちゃうのと言い訳していたが、トンデモナイ、その調子でいいんですよ、と言ってあげたかった。
番組の進め方は、一定の持ち時間で素人歌手が歌い、和田アキコが良いなと思ってスイッチを押すと、持ち時間が加算され、最後まで歌いきれるが、加算されなければ途中で時間切れで退場となるというもの。
例えば、けっこうサビを聞かせて上手そうに歌ってる出場者に対して、最初は和田アキコが加点(歌う持ち時間が加算)するけれど、途中から冷たくなって、点が入らず時間切れになったりする。で、和田アキコの評価は見せかけじゃダメよと手厳しい。
とってもルックスがよくて上手そうに歌ってるけれど、ところどころ出てくる調子っぱずれはどーしよーもないから、気の毒だけれど和田アキコの言うとおりだ。仲間内のカラオケボックスならウケルだろうーけど、プロを目指すにはチト論外。
そうかと思うと、あまりメジャーでも無い曲を熱唱する人がいて、でも基礎がちゃんとしているせいか、思わず引き込まれてしなったりすると、これはちゃんと評価されて最後まで歌い通していた。
その評価は、楽しそうに歌っていたと言うものだから、チト分かりにくかったりするけれど、けっこう含蓄があって、うんそのとーりだと思ってしまう。
そうこうしてるうち、小さな女の子が出てきて、これまた思いっきり感情を込めて熱唱するのだけれど、残念ながらプロとしてお金を取れるレベルではない。フツーの歌番なら、高得点間違い無しなんだろーけど、和田アキコの批評は、まだ声が出来て無いと手厳しい。
まあ、たかが娯楽番組だから、別に熱く語る事も無いのかも知れないが、これはスバラシイ!こういう正鵠を得た批評というのを、今まで日本のTV番組では見た記憶がなくて、ビックリした。
かなり昔の話なんだが、アメリカのTVショーでゴング・ショーというのがあった。一時期日本でも放送されていたとも思うが、この番組、いってみれば素人かくし芸大会だ。出場者が歌を歌ったりおかしな芸を披露したりして、ヘタクソだと途中でゴングがなり退場となるが、それが実に情け容赦なくて、つまらないと即退場なのだ。
盲目の歌手がいくら熱唱していても、上手いか下手かで判断され、盲目だからと言って特別扱いはされない。ごくフツーの女の子が、とんでもない歌唱力を披露すると、審査員は飛び上がらんばかりにコーフンして、ちゃんと満点がもらえる。
このゴングショーはおふざけムードの軽いノリで進行するけれど、どんなにドンチャン騒ぎしてても、コンテストの評価だけはシビアだった。こういう評価軸がぶれないコンテスト番組は、日本では、あまりお目にかかる事はなく、必ずお涙頂戴みたいな本筋と無関係な評価軸で決まるのが常だったように思うのだ。
だから、和田アキコのこの番組での的確な講評は実に新鮮だった。好き嫌いでいうと、大変申し訳ないが、タレントとしての和田アキコは好かん。特にエラソーになんやかんや言う様は、いったい何様?と反感を持ってしまうが、事、歌に関しては一目置いてしまうし、その批評も的確なので、この点はスバラシイと思った次第。
ところで、出場者はというと、残念ながらイマイチだ。素人にしては上手いけれど、プロとしてみれば、まあフツーかなというレベル。先のゴングショーなんかだと、とんでもない天才が現れたりしてぶったまげるが、今のところそういうレベルではない。けれど、こんな風に的確な評価が続くなら、そのうちとんでもない天才歌手が出てきそうで、ワクワクしてしまうのだ。
銀座にオールデイズを聞かせる店があって、そこにカーペンターズの曲を歌う女性歌手がいたが、これがとんでもない天才で、物凄く広い音域を何のストレスもなく、まるで電子楽器のように正確に歌っていて、ぶったまげたもんだ。
ただし、余りにもすんなり声が出るのと、カーペンターズの曲が私は好きではないので、ぶったまげたけれど感動はしなかった。でもそういった好き嫌いを別にすれば、まちがいなく世界に通用する程の歌唱力。そういったトンデモナイ歌手がけっこう埋もれていたりするので、こういう番組で世に出ないものかと期待するのだ。ではまた。
↓ ↓ ↓
| 固定リンク
コメント
ekg様、コメントありがとうございます。
私は、深夜番組はあまり見ないのですが、けっこう質の高い番組があって、チャンプルとかいうダンス番組は録画して必ず見てます。
御案内の番組もイケルようですね。
埋もれた才能が、発掘されると良いのですが・・・、気にかけて見るようにしましょう。
投稿: ベンダソン | 2008/08/13 16:19
はじめまして。マスコミや特定国に関する論考、いつも読ませていただいています。さて、今回たまたま自分も割と夜中にふと見てしまう番組に関してのエントリーだったのではじめてコメントさせていただきます。
この番組は「歌スタ」ってレギュラー番組で、普段は6〜7人くらいの、有名どころに楽曲提供をしているマジなプロデューサー達が、今回のスペシャル「和田スタ」の和田アキコか、それ以上に真剣に素人歌手志望を評価する番組です。彼らは最終的に「よろしく」の札を上げた場合、実際に彼/彼女の曲を創ってデビューさせるという前提で審査をしているのでいたって真剣。才能があると思われてもまだプロでできないと判断すれば、その場では容赦なく落とす。そのかわり、きっちりと問題点等を指摘し、次回の挑戦を促します。公開番組でこんな真剣でいいのか?とか思ってしまいますが、ともすれば重苦しい雰囲気になってしまうこういった真剣な場面をお笑いの東野とチュートリアルがなんとか和ませるといった形で成り立っているようです。
ご指摘の通り、ほとんどがカラオケ屋のスターレベルを脱していませんが、たまにぐっときてひきこまれてしまうような歌を歌う参加者がでてきたりして、なかなか楽しめる番組です。まー結局のところ体のいい夜中の暇つぶしに過ぎませんが、スペシャル「和田スタ」の雰囲気が気に入ったならきっとレギュラーの方の様々なタイプの審査員と彼らの評価の仕方、ほんとにごくたまですが実際に審査員のめがねにかなってデビューが決まるところなど見ていると、なかなか興味深いです。是非見てみてください。身近にこの番組を見てる人が居なかったので、ついつい長いコメントしてしましました…
投稿: ekg | 2008/08/13 14:31