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2009/04/28

安全だけど安心できない国

拙ブログは、訪問者数やネットランキングの割には、コメントが非常に少ないが、ココのところの草なぎ君逮捕事件に関しては、珍しく多数のコメントをいただいている。普段の拙ブログがいかに面白くないかとも言えるが、逆に言えば、草なぎ君逮捕事件には皆様大きな関心を持っているということだろう。

拙ブログは開始時期より一貫して、マスコミが第4の権力であることと、その恣意性を指摘してきた。それが最近、特に麻生内閣になってから、政府寄りの色彩を強め、ますます酷くなってきたように思う。

同じように、警察権力の横暴と思える事件も、高度情報化社会になって透明性が高くなり、少なくなるかと思いきや、信じがたいほどズサンな捜査や職務執行が行われているのを見ると、ビックリする。

理由は何であれ、そういったことをマスコミが報道しないのは事実だ。しかし、インターネットの普及によって、我々は知ることが出来るようになった。それまでマスコミ報道でしか社会で起きている事件の数々は知りえなかったが、インターネットにより誰もが広報できるようになったからだ。

その結果、以前であれば、社会の片隅で恐らく密かに公権力を行使していたであろう事が、誰もが知りえてしまう現象が起きている。その一例を挙げれば渋谷事件といわれる昨年10月の事件がある。

この映像では、若者がいきなり逮捕された様子が見て取れ、背筋が寒くなるが、「事前にこの若者グループが警察の了解を得ている場面」をご覧いただければ、なおさらゾッとしてしまう。行進がいけないならいけないときちんと根拠を示して言えばよいではないか。

それを騒いだり車道を行くのでなければ問題ないよと、許可しておきながら、逮捕は無いだろう。はげ頭の私服と思しき警官が、コーボーだ!押さえろっ!と叫んでいるのも、SFに出てくる未来社会の秘密警察じみて、現実感が無くまるでドラマのようだ。だが紛れも無い現実なのだ。

この映像を見て、思ったのは、この若者は一生、公安から目を付けられるだろうなということ。それが怖い。実際サヨクなのか、ただの問題意識を持った若者なのか、どういう若者なのか分からないが、誰しも「一生」「目を付けられる」と思ったのではないだろうか。

かつて過激派とよばれたサヨク運動は、一応制度として議会制民主主義が実施されている国ではナンセンスなことだと思う。社会不安を煽るだけだから過激な行動は取り締まって欲しいが、何かに疑問を持ち、適法に行動する事が取り締まられ、それに対する説明が一切なされないとなると恐怖政治ではないか。

その恐怖が、北の金オヤブンのようにハッキリしていれば対処のしようがあるが。何がいけなくて何が悪いのかはっきりしなくて、しょっ引かれるのでは、いきなり因縁を吹っかけるヤクザより始末悪い。

以上はほんの一例だが、以前ならマスコミ報道されないでウワサとしてしか聞こえてこなかった、こういった公権力の横暴と思える事実を見ると、警察は横暴を堂々とやっているように見える。あのはげ頭の指揮官は、あんなにカメラが回っているのに堂々とコウボーだ!と叫んでいる。まるでどうせヤバイところは編集できるから、市民の目なんかへっちゃらとばかりに叫んでいる。

こういう市民の目を屁とも思わない公権力の行使が、ココのところ特にエスカレートしてきて、その分かり易い例が草なぎ君逮捕だと思う。それゆえ、さすがにこれはヤバイと皆さん、関心を持ったのではないだろうか。

冒頭述べたように、こういった捜査機関(行政)とマスコミの癒着と、権限の恣意性については、これまでずっと拙ブログで警鐘を鳴らしてきたが、文才と知識の不足から、思うように伝えられないもどかしさを感じていたら、我が意を上手く補足してくれるコメントをいただいたので、紹介したい。

前エントリーにお寄せいただいたコメントなので、読まれた方も多いと思うが、ここに再掲する。本人未承諾ながら拙ブログへのコメントなので勝手ながら良しとさせていただこう。

<自家引用開始>

はからずも私のコメントへの反響がありましたので、少し付言いたします。

捜査機関(行政)とマスコミの癒着と、権限の恣意性の2点についてです。

まず、前者の捜査機関とマスコミの癒着については、正直よく判りません。
ブログ上の議論では、リーク源としての捜査機関と記者クラブの横並び体制が問題とされますが、それが決定的ではないのではないかという気がします。

以前、学生の時分に某新聞社を3日ほど見学させてもらったことがあるのですが、そこでの2つの出来事が気になりました。

最初は、警視庁記者クラブで、その新聞社のチーフに対しての質問でした。
その場で、実名報道の基準が話題に上がりましたので、犯罪の軽重や事案の内容に応じたガイドラインを作成する気はないのかと問いました。
すると、(あくまで私の感覚ですが)そのチーフは一瞬ムッとした後に、「個別具体的に判断していて、そういったものを作成しようとは考えていない」と答えました。
「個別具体的に」というのは、もっともらしい説明ですが、数年ごとに配置の変わる記者が、ガイドラインもなしに判断できるものでしょうか。
その時、私が直感的に感じたのは、捜査機関サイドの発表にしたがって報道しているのだろうということでした。
そこには大企業として報道内容に責任を負わねばならないから、リスクを軽減したいという制約があるのかもしれません。

次に、記者の方との懇親会の席での話です。
私が行った3日間のスケジュールを統括してらっしゃった記者と、最終日に軽く飲む機会がありまして、番記者時代の話を伺いました。
その方は政治関係の番記者をやってらっしゃったのですが、その際に取材相手から意見や情報を求められることが度々あったそうです。
そして、その時その記者の方は、「僕らが一緒に国を変えてる気になってたよね」と仰ったのです。
記者の方も少し酔っていたので、真偽は定かではないですが、私には明らかに後悔の色が見えました。

最初によく判らないと書いておいてこの2例を挙げましたのは、私にある推測があるからです。
確かに、情報源の喪失や記者クラブといった負の動機はマスコミを拘束するでしょうが、それだからこその反発もあるはずです。
しかし、実際にそれが起こらないのは、大企業ゆえに求められるリスク回避意識や記者の善意が報道を支えているからではないでしょうか。
それが全てではないでしょうが、マスコミが偏向した報道をする積極的動機を持っていることの一端は示せるかと思います。

第2に、権限の恣意性についてです。
あまり知らされることがないので、刑事裁判手続きについて、ちょっと根本にさかのぼります。

普通、人が誰かに法益を侵害された場合、それをやり返したりします。
しかし、市民社会としては単なる暴力の連鎖では困るので、暴力を正当化できるのは国に限定されます。
その暴力が刑罰です。

ざっくり言えば、国が被害者に代理して犯罪者(被疑者)を裁判手続きに訴え、被疑者は防御し、裁判所が(一応独立に)裁定を下すのが刑事裁判手続きです。
国が仕返しをするので、被疑者を訴える権限は国に独占されます。
これを国家訴追主義といいます。

この時、国の側に立つ法曹は検察官(裁判所は行政から一応独立)で、ここが起訴・不起訴の判断を行います。
この判断を行って事件を振り分けることを起訴便宜主義といいますが、これが曲者です。
詳しい各国の状況は忘れましたが、この方式を採用していない国も多いです。
例えば、検察は送検された事案を全て起訴して、判断は裁判所に仰ぐという方式を採用している国もあり、起訴された事案の70%程度しか有罪とならない国もあります。

ちょっと話は逸れますが、逮捕と起訴の関係についてもおもしろいことがあります。
日本では、犯罪の嫌疑について有罪>起訴>逮捕という序列がありますが、身体の自由を制限する逮捕を自由権の重大な侵害と捕らえて有罪>逮捕>起訴としている国は多くあります。
すなわち、犯罪の嫌疑があるから起訴はするが、(無罪が推定されるべき)被疑者の自由を制限するほど明らかになってはいないとして逮捕に踏み切らない事例は、他国では当たり前だったりします。
例えばライブドア事件などは、そういった国では証拠を保全した段階で一旦釈放となるでしょう。

さて、話を起訴の点に戻しますと、起訴便宜主義とは、検察官の判断で起訴・不起訴を判断できるというものです。
これは、予算的な制約があることや、改心したり社会的制裁を受けた被疑者の軽微な犯罪について短い刑を科すとかえって刑務所の中で余計な悪知恵を得る可能性があることから、起訴を猶予することができるという制度です。
その趣旨が全うされていれば良い制度なのかもしれませんが、主犯を挙げたい検察が、従犯に対し、起訴猶予をエサに(主犯にとって時に不利な)自白を促していれば、実質的に司法取引です。
また、訴追権限を国家が独占しておきながら、公判を維持できないとして起訴しない場合には、被害者やその遺族にとって、国からの助力は得られないし、真実を追及するきっかけすら得られないことになります。

ところで、起訴された事案の有罪率について、先ほどは全事案を起訴した場合で約70%の国があると書きました。
私が資料を見た欧米の国では、それぞれ制度が違うものの大体90%前後の有罪率が多かったと記憶していますが、日本の場合は99%の有罪率です。
いくら検察が優秀であっても、これはおかしいのではないでしょうか。

ちょっと長くなってしまったので、権限の恣意性が発生する構造があるということにだけ触れておきます。
具体的なことは、周防正行監督の映画やホリエモンブログを見てもらえばある程度判るかと思います。
それから、法律家は、法の適用について判断することが仕事なので、せずさんのおっしゃる法律の専門家でも、法律の前提が正しいのか、現在の秩序立てそのものが妥当かという議論は避ける傾向があります。
そもそも、日本の法律家は、司法研修所で司法修習を受け、実務の有り様を叩き込まれますから、全員が官製といえなくもないのです。

そして、警職法で保護することも公然わいせつで逮捕することも警察の判断に任されている根本的な原因は、法律の規定そのものにあるのではないかという気がします。
日本の法律は、各法律との整合性に重点が置かれすぎていて改正が遅く、時代の要請や適切な捜査の担保が十分ではありません。
その点では、裁判で整合性が問題となった際に、新しい法律の趣旨にそぐわない規定を裁判所が上書きできる、EUのようなやり方も参考にされるべきだと思います。

深夜になってしまいまして集中力が欠けてしまっているものですから、ちょっと議論が散乱してしまいまして失礼いたしました。

投稿: ns | 2009/04/28 02:43

<引用終わり>

以上、本日これにて。

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コメント

“安全だけど安心できない国”と言うタイトルについて一言あります。
安全の国世界ランキングとか幸福度世界ランキングなどでは尺度が示されていますが、貴殿の言う安心出来ない国(又は安心できる国)と言うのは世界ランキングが調査されていない(様な?)ので、その査定はあくまで貴殿の主観に基ずいた物と言わざるを得ません。貴殿にとって論理的・理知的に行動出来ている国が安心できる国(の尺度)と考えている様だと思いますが、本当にその尺度だけで決め付けて良いものかその妥当性を論理的に説明して下さい。
また“---安心できない国”とレッテルを貼ることは必然的に他の国は良いが日本は悪いと言う事を含んでしまうので“安心な国”世界ランキングとその尺度が明記されて初めて客観性(論理性)が保たれる事と成ると思うのですが如何?
論理的であると言う事は喧嘩(口論)に強くなると言う事で他国(他人)から自国(自分)を守るに有力なツールですが、人の心は論理からだけで出来ている訳ではないでしょう。
論理で勝負せねばならない国アメリカで安全度世界ランキングは97番目/140国、幸福度150番目/178国であり、また(私が)極めて論理的な国と思っているイスラエル国では安全度ランクが136番目/140国、幸福度が117番目/178国である事を考えると、ある国が論理性が最も高いと言う事で安心な国#1となるとは思えません。如何思いますか?

投稿: 鈴木 | 2009/05/17 03:19

enzaix様、情報ありがとうございます。

今日、一生懸命チャンネルを探してしまいました。

11日って、明日でしたね。

落ち着いてみようと思います。
とりいそぎ

投稿: ベンダソン | 2009/05/10 23:42

たびたびお邪魔します。

たった一人で愛媛県警のウラ金を告発し続けた現職警官「仙波敏郎」さんのドキュメントが放送されます。

よろしかったらご覧ください。
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5月11日午後7:00放送「ドキュメンタリ宣言」

さらば警察
~わが人生に悔いなし~

現職の警察官が、なんと顔出し・実名で「警察の裏金」を告発した。
仙波敏郎"巡査部長"
たった一人で巨大な警察組織に闘いを挑んだ男に待ち受けていたのは、
驚くべき仕打ちだった。

投稿: enzaix | 2009/05/09 01:39

初めてコメントを書きます。
世間ではマスコミは第*の権力とよー言いますが、
当のマスコミは皆よく否定し、一般人のふりをします。
自分達の立場を理解しているから、こんな発言をし
都合よく権力を振りかざします。
当然マスコミだけではなく「権限」を持つものはその様な
傾向があるのではと。。。
色んなところに在日も入り込んでるしね。

まぁ、ココには書ききれないくらいの思いはありますが
現状を改善する特効薬は通常においてはありません。
何よりも、もう一度教育を見直しじっくりとやり直すべきではと
思います。
戦後行われている自虐教育では何も生みません。

とても時間がかかるけど、仕方が無いと考えます。
そのうち「誰かが」トンでもない逆転策を生み出しますから。

投稿: CYO国粋 | 2009/05/07 15:55

こんばんわ。

またもおかしな検察と裁判所により、刑務所に放り込まれたと思われる事件です。

高知白バイ事件を取材、シリーズ化した瀬戸内海放送の山下洋平さんが取材した事件です。

放送内容をテキストにおこしましたので、興味がありましたらご覧ください。

「唐辛子」を口に入れたのは誰か ~倉敷男児窒息死~ テープ起こし
http://enzaix.jugem.jp/?eid=862

投稿: enzaix | 2009/05/05 00:53

enzaix様、ペンタクロス様、コメントありがとうございます。

テロ朝などと揶揄されますが確かに、朝日系はいい線行ってる要に思います(あくまで相対論ですが・・・)。

叩くばかりでは、彼らと同じですので、褒めてあげても良いかもしれませんね。

それにしても、民主党内部に巣食う獅子身中の虫には困ったものです。

投稿: ベンダソン | 2009/05/01 09:05

こんばんわ。

民主党の小沢辞任推進派ですが、どうもハッキリしないですね。

(1)市民を守る気が無いのか。
 検察批判をするなという人達。もし、今後、検察が一般国民を不当に扱ったとき、がんばってくれるのか不安です。今回、検察がおかしいという事に「ピン」とこない議員達は、今後、市民が不当に扱われた時、その意味を理解せず放置するのでは無いかと思ってしまいます。

(2)スネに傷があるのか。
 小沢辞任論を唱える議員達は、検察にビビっているのではないか。検察を批判すると今度は自分がやられる。ここは小沢を批判し、検察に気に入られようという気持ちがあるのかとかんぐります。

(3)検察の暴走を理解できないのか。
 もしそうなら重症です。警察、検察は間違いをしない。逮捕されたら悪人なんだよ。こんな程度の考えの人がいるのでしょうか。こんな人達が民主の重要ポストにいるなら「ゾッ」とします。

(4)いままで何もしてこなかった人達。
 小沢氏のやり方がおかしいというなら、なぜ今までに行動を起こしてこなかったのでしょう。今回の秘書逮捕で、虎の威を借りるナントヤラで、急に騒ぎ出したのでしょうか。そんな事が見透かされたら国民から見放されると思うのですが。

こんなような議論を重ね、少なくとも理屈を理解したうえで、鳩山さんイジメに走らず、党としての方針を決定する必要があるでしょう。というか、してほしい。

投稿: enzaix | 2009/04/29 23:47

ペンダソンさん、こんばんは。
enzaixさんに同感です。
官僚行政は国家主義(非民主)ですので「狡猾な恣意」を発揮していますが、報道の迎合は一部を除いて決して本意ではありません(朝日などは新聞・テレビ・週刊誌表現調整での「面従腹背」気配あり)。
ネットで官僚を直接批判しても「カエルの面に小便」でしょう。
今の日本は権力病です。できることは「報道の民主正義」を信じて、ネットによる「メディアオンブズマン機能」を推進させること。戦前にはなかった機能です。報道の正常細胞を刺激・活性化させましょう。
(共謀罪法など成立したら再び暗黒の世界です)

投稿: ペンタクロス | 2009/04/29 03:17

こんばんわ

マスコミがちゃんとまっとうにするにはどうしたらいいのでしょう。

不買運動。

皆がブログで叩きまくる。

上記両方。

皆がブログでほめまくる。

週刊朝日は、西松事件、くさなぎ事件に関し、ここのところいいせんいってますが

投稿: enzaix | 2009/04/28 22:14

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受信: 2009/05/09 01:04

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