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2009/08/04

四方山話(2)

戦後、このかた任期満了した衆議院なんてあっただろうか、ほとんど記憶にない。選挙もしないで毎年総理大臣が変わるなんて国は日本くらいなもんだろう。よく評論家が、この国のビジョンが示されてないなどと言うが、仮に明確なビジョンが示されていたとしても、1年か2年でころころ変わる内閣では誰も信じはしまい。

そう、この国の国政はだれも信じていないのだ。先に述べたように、個人的に見ると政治家・官僚ともに魅力的で優秀な人材が豊富なんだが、組織になるととたんに、地位の確保に追われて能力が埋没してしまうようだ。

少なくとも自民党を見ているとそう思う。中には利権目当てで議員になった人もいるかもしれないが、大多数は天下国家を論じるためだったはず。目的は天下国家の平和と発展、議員は手段だったのに、どうしたわけか議員であることが目的化してしまったようだ。

そう考えると、次期総理と目される民主党鳩山代表が、総理を辞めたら政界を引退するという発言はスゴイと思う。そんな事を言える政治家が今までいただろうか。あるいは今後も出てこない様に思う。自らを律するという事は、口先であーだこーだ、他人や起きてしまった出来事を批評するのとは千倍も万倍も価値があるのだ。

ところで、国務大臣を経験した大先輩と居酒屋で飲んでいると、いろいろな人が挨拶に来る。件の先輩はその度にヤアヤアドーモ-ドーモと如才ないが、後で奥様ともども誰だっけ?とやっていた。大臣を辞め議員を辞めた後も、人の顔が票に見えてしまう習性が抜けきれんと頭をかいていた。

国会議員の仕事は、天下国家の事ではなく、票を取るための地元の利益誘導であり、人気取りなのだ。それが大臣になると責務の範囲が広がるが、地元の為の部分は続く。そうして地元に利益誘導しなければ選挙で地位を失ってしまうからだ。

だから、前から不思議に思っているのだけれど、なぜ組閣を衆議院議員で占めるのだろうか。枡添氏のように参議院議員が大臣になってもおかしくないし、総理大臣でも問題ないのにだ。まして、今のような小選挙区制のオラがまちの議員さんに国の舵取りを託すなんてどうかしてる。

常に地元選挙民を意識しての国政では、大所高所の視点で国政に臨むなんてことは不可能だろう。竹中大臣は民間からだったが、学者だから良いものの、もし特定企業あるいは産業界の代表だったら、まず許されまい。なのに何故か特定地域の代表である衆議院議員が大臣になっているのである。特定の企業も地域も一部の代表においては同じだろう。

国政は、全国の代表者に委ねられるべきだ。だから参議院比例区選出議員あるいは民間のエキスパートでなければおかしい。少なくとも国家の長期的ビジョンを政府に求めるならそうすべきだ。1年か2年でころころ変わる内閣が510年先のビジョンを言ったところでリアリティが無いし、出来得る筈もないではないか。

ビジョンを語れない政府体制を容認しておいて、やれ官僚主導はケシカランとかビジョンがないとか文句を言う国民(評論家)はバカだ。こう言う解りきった前提条件を放置しておいて、その前提では出来得ない期待をしたり、出来ないからと非難するのは、あまりにも非論理的過ぎる。

念のため言うが、組閣を参議院で占めるのがベストと言っているのでは無い。言っているのは①全国区の代表でなければ国家の仕事は無理、②短期政権では長期的展望は無理、ついでに言うと諸外国の信用も得られない。現状の国家体制の中でこう言う問題点を解決するには、参議院議員と民間エキスパートで組閣するしか選択肢が無いということ。

こう言うと、国民の審判を持ち出す人がいそうだが、6年の任期を前提に参議院議員は国民の付託を受けているのだから、これ以上の審判はあるまい。もともと衆議院は総理大臣権限でいつでも解散できる程度のものなのだ。

ころころ変わる衆議院だから、そのつど国民の審判を受けてはいるが、あくまでオラが町や村の代表に過ぎない。過ぎないけれども瞬間風速的に見れば国民により近いから、議院の権能は参議院より上として、参議院とバランスを取っていると考えたらどうだろうか。あるいはいっそのこと、再議決権限を参議院に移し衆議院と参議院を入れ替えた方が分かり易いかもしれない。もっとも再議決権が無くなると、解散総選挙の意味がなくなるので、そうなると衆議院は不要かもしれない。

現実問題、ねじれ国会なんてマカ不思議な現象が起きていて、国民の審判を得てない内閣の下で再議決の連発で法案を押し通しているのだから、建前はともかく実際問題は、2院制の意味は無いように思う。

少なくとも自民党の混乱ぶりを見ていると、この人達は一体今まで何をやってきたのだろうかと首を傾げてしまう。全くもって底の浅いマニュフェスとを見せられると、つくづく無能なんだなあと思う。実際は無能である筈もない人々がかくも無能ぶりをさらけ出すのは、やはり長期政権でありながら短期内閣の繰り返しで、任期の短さから来る結果ではないだろうか。

何がマヌケかと言うと、大きく俯瞰すれば噴き出すようなことが書いてあるからだ。任期以上の10年後の事を書いていたりするのがそれで、さすがのマスコミも呆れているようだ。長期的ビジョンとして示すのは良いが、マニュフェスとは実行を約束するものだからそりゃないよだろう。

しかもその内容が国民の可処分所得を1世帯100万円アップするという。ホエっ?!国民を豊かにするというのは当り前だろう。それを具体的に100万円という数字で示したつもりか知らんが、じゃあ自民党は戦後このかた60年間、そういう事を考えてこなかったの?だ。

今まで出来なかった、或いはやらなかった事が、どうしてこれから出来るというのか。今まで政権を取ったことがない民主党がそういう事を言うならまだ分るが、今まで政権の座にいて出来ない事が証明された自民党が言うところが正気の沙汰ではない。

自民党の言ってることを日本語に翻訳すると、「国民の皆さん、私たちは長く政権の座に居ましたが、国民を豊かにしませんでした。その事は過去の実績から明らかです。なので今後も出来ない事は証明されてます。ですが、これから10年後に1世帯当たりの可処分所得を100万円アップします。」ということだ。

これを聞いた長屋のクマ公はこう言うだろう、「てやんでいベラボーめ。だったらなんで今までやらねーんだ。今までやれねい事がこれから先出来ますってんなら、格差社会や派遣切りはわざとやったてのか、オウ国民をなめんじゃねーぞ」

今まで出来なかった事を、最低でも2回以上先の総選挙後に実現しますと、今回の選挙で約束する?!こう言うふざけたことを平気で公約として掲げる自民党を見て、支持者たちは一体どう思うのだろうか。そーだそーだ、頑張れ自民党と思うのだろうか・・・。

さすがに愛想を尽かしたのだろうか、某県某市ではこんな光景が展開された。民主党新人議員の応援に漣訪議員が駆けつけ街頭演説をしていた。するとそこにいた民主党県連の幹部議員の周りにべったりと利権派市議が取り巻いていた。

彼ら利権派議員は、つい昨日まで自民党T議員の腰ぎんちゃくだったのだが、はて?いつ民主党になったのだろうか。知性も教養も無く、ただ本能的に利権には敏感な彼らは早くも、民主党政権到来を嗅ぎ取り、臆面もなくすり寄っているのである。

拙ブログでは再三書いたから、もう聞き飽きたかもしれないが、政権奪取後の民主党が気を付けなければならないのは、こう言う連中だ。先の参議院選挙以来、勝ち馬に乗ろうと権力志向の怪しげな連中が民主党の底辺にうごめいている。

自民党執行部と対立して民主党に鞍替えしたような国会議員ならば、思想も信念もありそうだが、地方議員となるとただの風見鶏がウジャウジャいる。政権交代後は、こう言う連中が獅子身中の虫となって、民主党の評判を落とすことだろう。

ホップ・ステップ・肉離れどころか、ホップと踏み出したとたん足もとが崩れズボッと嵌りかねない。以前から気になってはいたが、自民党がここまで泥船をさらしてしまうと、最後まで自民党にしがみついているだろうと思われていた利権ズブズブの連中さえ逃げ出してしまったようだ。

逃げ出すのは結構だが、ようやく船出しそうな民主にしがみ付いて後悔の邪魔をしないでくれと言いたい。まあ、長年官僚任せの政治をやってきた自民党には、政策立案能力が無くなっているので、ここで政権交代しても、民主党には対抗できないだろうから、暫くは民主党の天下が続くと思う。でも、もともとは優秀な人材が少なからず自民党にはいるので、心を入れ替え本気で勉強し始めたら4・5年後はどうなるか分からない。

今の自民・民主の構図が逆転するだろう。たぶんその事は民主党の幹部たちも覚悟しているように思う。分ってないというかそんなこと関係ないという、寄らば大樹の陰と言う無節操派は、それこそ、そんなのカンケーネーとばかりに、権力側の内側を食い荒らすだろう。

これからの民主党は、こう言った獅子身中の虫やすり寄る害虫をどこまで排除し、あるいは矯正できるか、当面のマニュフェスト実現の一方で、大変な労力を強いられることになるだろう。とはいえ、まずは政権交代しなければ話にならないから、ここは勝つ前から兜の緒を締めて戦ってほしいものだ。

政府高官となった知人から来る個人的メールからは、ところどころいつ何どき馘首されるかわからないという覚悟が伝わってくるから、官僚たちもおそらく大政奉還と新しい国家体制の到来に覚悟を決めているのかもしれない。

未だにそう言った覚悟がないのは、おそらく自民党執行部だけなんだろう。だからわざわざ墓穴掘りまくりのマニュフェスとを公表するのだろうか。でも、意図的に民主の追い風になるような事をやっているとは考え難いから、あれは本気なんだろう。だとすると完全に頭のネジが狂ってる。ま、有り難いことではあるが、あれでは真面目な自民党議員が可哀そうになってくるが、大きなお世話か。ま、精一杯健闘するがよかろう。

という訳で、自民党をボロッカスに言ったところで飽きてきたので、本日これにて。

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コメント

かなぶん様、コメントありがとうございます。

トンデモ発言だとは思いますが私はハイパーインフレがこの国の救済策だと思っています。でも、実際にはできないでしょうね。インフレもデフレもコントロールできないから困っているので、デフレスパイラルからハイパーインフレは、無理でしょう。

でも、そういった経験則の一方では、何かの拍子にハイパーインフレに転じるかもしれませんね。防弾チョッキを買うより金を買った方がいいかもしれません。

投稿: ベンダソン | 2009/08/07 14:04

毎度毎度、貴重な見識感謝いたします。

用は国民が各政党に、常に相見積を取っている状況を作り続けないといけないのですね。
どんなに優秀な人間も保守的になると必ず堕落していくことが証明された訳で。

政権交代は一プロセスに過ぎず、その後に焦点を向けていかないといけませんね。
目的とプロセスを混同せずに!

今の自民なら言いかねませんね! ハイパーインフレのさなか「国民皆さん、100万アップ所か、100倍になりましたね!! 我々の公約は果たされました!!」とか。笑

私は貯金がないのでウエルカムですが、800兆の借金がチャラ=一瞬で皆のプールしてきた労働の対価が消えるのでそら恐ろしい世界が来ることでしょう・・・・・・。笑

そろそろ防弾チョッキでも買っておこうか考えてしまいます。

投稿: かなぶん | 2009/08/07 01:06

国民が2007年の参院選で与党自民党を少数党に追い込んでしまっちゃ、誰が総理をやっても長持ちできませんよ。
本気になって衆議院任期いっぱい首相を務めるようしたいなら、参院は決算だけ、大臣は出さない、すべて衆院優先にしなければ無理です。

投稿: 世話焼き爺 | 2009/08/05 20:37

NSさま、コメント有難うございます。

可処分所得を1世帯当たり100万円増やすという事は、議論し出すと100出しそうですね。
あるモデル世帯の収入増だけを考えれば、確かに老齢者が働けば収入増となりますが、末端労働と言えども、派遣村ができる状況では、はたして仕事があるかどうか。今現在も働く意欲と能力を持った高齢者はゴマンと居るのに仕事が無いというのが現実ですよね。

1世帯当たり100万円増とは、ある家庭の収入を増やすのでは無く、まずは国民総所得を増やす事に他なりません。極論すると増加する100万円/世帯の富を一人が独占してもとりあえずは構わない。勿論同時並行に富の適正配分がありますが、優先順位は総所得の増加です。

いくら格差社会と言っても、日本のそれは末端労働者の低い次元の話で、社会構造自体は富が一部に極端に方寄るようにはなっていません。格差が起きているのは事実ですが、マスコミの印象操作で実際以上に富の偏向があると思わせられているような気がします。

で、大雑把に言えば、極端に企業が資本を蓄積しない限り、総所得の増加とはGDPに連動するでしょう。GDP÷総人口が目安です。割る母数は世帯数かと思われそうですがマクロ的に総量の話をしているので、この段階では総人口で良いでしょう。

だからGDPを増やすか、人口を減らすかすれば数値は上がりそうです。人口は2005年をピークに減少していますが、世帯数は伸び続けています。ただしこれも2015年には減少に転じますから、10年後の想定には影響ないでしょう(それ以降は有利に働く)。

要は、早い話経済成長率を上げるということです。だから自民党政権下では、バブル崩壊後90~08間はマイナスとプラスを行ったり来たり、この間の平均経済成長率は1.1%だった訳で、ほぼ20年間出来なかった事を、いったい今後どうやって出来るというのかマカ不思議なことです。

ちなみに、コトバの意味合いを無視して、単純に「可処分所得を1世帯当たり100万円増やす」ことを実現するなら、ハイパーインフレが効果的かと思います。これにはもう一つの側面があって、800兆円と言われる国・地方の借金(09末予測)を実質的にチャラにするので、別の意味でアリかなと思います。

こうなると可処分所得が100万円増えても、得られるサービス・物品は減り生活は苦しくなりますが、数値上は増えるのでウソにはなりません。(通常LCC計算など、未来の価値を論じるとき、現在価値に直すので割引率の概念が入りますが、たぶんそんな事書いてないでしょう。書いてあったとしても元々ナンセンスな話なのでどーでも良い)

話があっち跳びこっち跳びしましたが、まあ四方山話の延長なのでこんなもんです。

投稿: ベンダソン | 2009/08/05 11:26

↑の内容には同意するんですが、国の代表を選択することには困難が付きまとう気がします。

特に小選挙区制において国の代表を選ぶ場合、投票する者個人の利益と国の利益が相反することが多く、ゲーム理論でいう囚人のジレンマ状況になります。
したがって、現状の選挙制度やその制度の趣旨を理解させる教育のあり方に手をつけずに適正な選挙を期待するのは高望みかと思われます。

ところで、件の自民党のマニフェスト(小学生が書く夏休みの予定表よりひどいので、マニフェストですらないとは思いますが)で、世帯収入を100万円アップさせるとの目標が掲げられている点について、何となく思ったことがあります。

それは、60歳以上の無職者を最低賃金でフルタイム働かせるとそれぐらい世帯収入が上がるのではないかということです。

日本の人口は約1億2800万人(2006年)で、日本の人口のうち、65歳以上のいわゆる老年人口に60~64歳の人口を加えた割合は約28%(2006年の統計から計算)、世帯数は直近の調査で約4900万世帯(2005年)となっています。
そして最低賃金を750円としてフルタイム(月173時間)で12ヶ月働く場合の賃金は約156万円です。
ここで、人口の28%が「新たに」年156万円を得るようになると仮定すると、個人の収入の増加分は、全体で(人口)×0.28×156(万円)となり、これを世帯数で割ると1世帯あたりの収入の増加分が出ます。
ところどころ年度が異なったりしているので概算ですが、これを計算してみると、1世帯あたり114万円の増収となります。

厳密には、既に働いている60歳以上が一定割合で存在し、働けない高齢者もいることから、該当する人口の全員が新たに働くわけにはいかない上、所得税や住民税といった直接税により収入ほどには可処分所得が増えないことといった問題点があります。
しかし、新たに働きだす高齢者が全て最低賃金で働くわけではありません。
また、これから2030年頃までは、労働人口が減少、老年人口が増加という傾向は変わりませんから、60歳以上の人が新たに働きだすことによって世帯収入を増加させる効果は相対的に大きくなります。
さらに、自民党が主張するように、法人税・所得税という直接税を削減して間接税たる消費税を上げれば、収入が増えた分はそのまま可処分所得の増加につながります。
ちょっと細かい判断が入りましたが、つまり、現状の自民党の政策や麻生さんの「高齢者は働くしか能がないと思ってください」発言の当然の帰結として、世帯あたりの可処分所得は100万円アップするのです。

これから人口減少社会に入り、末端の安い仕事を担う労働力に欠けてきます。
そこに外国人労働者を入れるというのが他の先進国の手法でした。
ところが、この問題への対処として、日本は、老体に鞭打つことにしたようです。
仮に、高齢者の大部分をパート従業員とできれば、暮らすことも容易ではないといわれる国民年金の支給額を上げる必要も薄くなりますから、一石二鳥の制度ともいえます。
しかし、これからやってくる超高齢社会で当然に起こる出来事を、その工程表も示さずに「みなさんとの約束」だなんて…。
「変えるなら、ちゃんとした方向へ」なんてキャッチコピーはどうでもいいから、せめて夢を見られる「ちゃんとした大風呂敷」ぐらい広げて欲しいもんですね、野党として。

投稿: ns | 2009/08/04 19:27

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