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2009/09/24

八ッ場ダムを考える(1)

20090924k0000m010018000p_size5 前原誠司国土交通相が、八ツ場ダムの建設予定地がある群馬県長野原町を訪れ、住民との話し合いに臨んだが、白紙を求める住民らは話し合いをボイコットしたという。いったい何を考えているのだろうか、目が点になる。ボイコットが本当に住民の総意なのだろうか。ボイコットした人々は責任を取れるのだろうか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090923-00000074-jij-pol

<引用開始>

国交相「中止白紙に戻さず」=住民は意見交換拒否-八ツ場ダム予定地を視察

9231939分配信 時事通信

前原誠司国土交通相は23日、本体工事の中止を表明した八ツ場ダムの建設予定地がある群馬県長野原町を訪れ、大沢正明知事ら地元自治体関係者との懇談会を開いた。席上、同相は「ダムを中止する考えを白紙に戻すことはない」と述べ、建設中止の方針を撤回する意思はないと改めて明言した。
 当初は水没地区住民との意見交換会を行う予定だったが、住民側は同相が一方的に中止を表明したと反発して参加を拒否。急きょ懇談会に切り替わった。地元自治体も懇談会での同相の発言に態度を硬化させており、今後の交渉は難航することが予想される。
 同相は懇談会で、「政策変更で、ご迷惑をお掛けしたことは率直におわびする」と陳謝した。その半面、「国民に約束したマニフェストをやり切る責務がある」と中止の白紙撤回には応じられないと強調。さらに「公共事業見直しは民主党が政権を取った金看板の一つだ」と付け加えた。
 これに対し大沢知事は、「半世紀以上苦しんできた地元住民の声に耳を傾けることなくダム中止を表明したことは大変遺憾」と同相の手法を批判。高山欣也長野原町長は、「再検討して中止を撤回してほしい」と訴え、議論は平行線をたどった。
 一方、参加を拒否した長野原町の水没関係5地区連合対策委員会は懇談会終了後、同相に「ダム中止の御旗を下ろすことが対話の前提」とする要請文を手渡した。
 終了後の記者会見で同相は、全国143のダム・導水路の事業見直しに関連して、「本体工事に着工しているか未着工かは見直しの判断基準の一つになる」との認識を示した。
 同相は懇談会に先立ち、八ツ場ダムのダム本体工事に必要な仮排水トンネルなどを視察し、国交省の担当者から説明を受けた。 

<引用終わり>

お上に翻弄され続けてきた水没5地区の住民の皆さんには同情を禁じ得ないが、そういった感情とは別に、国家事業を強引に進めるならともかく、中止は可能なはずだ。「中止に反対」とは「推進してくれ」との要望である。

通常、要望する公共事業は要望する側にメリットがある事業である。例えば、道路を通してくれと要望するのはそれを使う地元の人である。駅を造ってくれと要望するのは駅を使う人若しくは使う人を相手に商売する人だ。だから駅を作れとは言うが、鉄道を通せとは言わない。言わないどころか、鉄道を通すだけなら普通は反対する。

八ッ場ダムは、下流都県の利水・治水目的だから地元には何のメリットもない。だからこう言った場合、補償に魅力がなければ人は賛成する理由がないから建設に反対する。湖畔を当て込んで商売すると言う人がいるが、首都圏有数の渓谷美が景観資源だったはず。それゆえ堰の位置を大きくずらして計画変更したと現地のでっかい看板に説明がされている。

それなのに今度は、湖畔創出のため渓谷を潰せと言うのだろうか。国は補償の原因であるダム建設を中止しても、ダム建設の補償の話し合いをしようと言ってるのだから、下流都県民が言うならともかく、地元住民が中止反対を唱える理屈にはちょいと無理がある(翻弄された揚句、今さらなんだと言う気持は分るが)。

住民や地元自治体が要望したからと言って、予定された公共事業が実施される必然性はない。そういう事がまかり通るなら、大多数の都市計画事業が実施されて無い事実に、説明がつかなくなる。

言うまでもなく国家事業は国民の税金で実施される。だからその使い道は公益を最優先すべきであって、地域の利益ではない。しかし、だからと言って地域住民が犠牲になってはならない。国家のためだから地域住民の生活を犠牲にして良いのならファッショだ、そんな事は人質事件のような緊急事態以外、政策展開として、民主主義国家にはあり得ない。

整理しよう、国家事業は国民のためであり、且そのため地域に犠牲を強いることもあってはならない。これを両立するためには、犠牲に見合った妥当な補償をする以外にはない。もし他に方法があるとすれば、犠牲となる住民の反対を尊重しての、事業中止の選択だろう。

八ッ場の場合は事業中止であるから、極論すると地域住民に犠牲を強いる原因を取り除くことになるから、それに対しての中止反対の理由は、事業実施によって得られる予想利益が失われる故の事だろう。

ただしこれは大雑把な推論だ。実際は没5地区の人々の生活環境は、ダム建設を前提に大きく変わってしまっていて、元には戻りにくいだろう。ダム建設を前提に生活設計を立てさせられているならば、その予想利益に対する損失補償が必要だ。

そのためには、話し合いが必要であり、話の中で要望を言わなければ、補償を求める事は不可能だ。ところが、国のトップがその話し合いをしようと言って場を設け、足を運んできているのに、それを蹴ってしまってはどうにもならない。

事業に何が何でも反対と言って話し合いに応じないと言うならまだしも、事業を何が何でも進めろとボイコットして、いったいどうやって国の事業を進めるというのか。国が予算を付けなければ進めようがないではないか。公共事業に反対する場合の主体は住民だが、推進する場合の主体は国民なのだ。地元住民⊆国民であって、地元住民⊇国民ではない。

中止反対の住民の気持は分るが、方法が間違っている。事業中止に反対ならば、その理由と、いかなる条件ならば中止もやむを得ないと納得するのかを明確に意思表示すべきだろう。そういった意思表示をしないで、ただ事業を続けろと叫び続けるならば、今はマスコミも淡々と報道しているが、やがて輿論のバッシングを受ける事は必至だ。

そもそも、ある地元住民女性がTVに出演し、命をかけても中止に反対するというその理由は道路などの基盤整備がされないと地域生活に支障が出る、下流都県の利便性・安全に支障があるというものだったが、これ、「地域」住民が中止に反対する理由なんだろうか。まるで利権土建屋が本音を言えず、イチャモン付けてるみたいだ。

前原大臣は基盤整備も住民補償もすると言っているのだ、中止するのは、これまで地域住民が反対してきたはずのダム本体工事なのである。つまり、地域住民が反対していたはずのダムを中止し、それでも見返りに約束していたことは実施すると国が言っているのに、上記のような反対理由はないだろう。

また、下流都県の知事や群馬県知事、長野原町長がダム建設続行を求めてはいるが、それが下流都県民及び群馬県民の総意若しくは多数意見とは限らない。まして国民となればなおさらだ。繰り返すが、国が地元住民の反対を押し切ってダム建設を進めると言うならば、輿論も味方しようが、この件はその反対の中止なのだ。明らかに輿論を味方にしない限り、政府が中止する事への反対はあり得ないだろう。

そもそも、話し合いの場をボイコットしたのが、住民の総意かどうかわからないのでは話にならない。住民の総意ならば、少なくとも出席可能な住民全員が参加し、問答無用なら問答無用でも良いから意思表示すべきだろう。

話し合いをボイコットし続け、輿論が住民を批判し始めたら、ダム建設の見返りの地域整備はやってもらって、ダムだけを中止して保証を受けるなどとはケシカランと言う人々も出てくるだろう。そうなったら政府が損失を保証しようとしても、出来なくなる。そうなったとき誰がどう責任を取るのだろうか。国や下流都県が撤退してしまった後も、中止に反対!と叫ぶのだろうか。

なぜ、こんな事を書くかと言えば、得てして住民運動は一枚岩ではない事が多く、特にまちづくりとか地域の将来像に関する事の場合、結果として住民は本気で地域の事を考えているとは限らないからである。それは素人ゆえに仕方ない面があるが、そうは言っても結果は全て地域に返ってくるのだ。

八ッ場ダムに関して言えることは、事業主体にも地域にもコーディネーターがいない事が最大の問題点と言えよう。これまで、八ツ場ダムの総工費約4600億円のうち既に7割の事業が終了となっているが、計画自体に無駄が多いし、流域の6都県などが、中止すれば負担金の返還を求める考えに対する報道の論調を見ても全体観の無さが表れている。

なにより、まことしやかに7割の事業が終了といっているが、予算の7割が使われただけで、7割が完成したわけではないことは現地を見ればすぐに分る。多くの人々は現地を見ずに意見を言っているとしか思えない。・・・(つづく)

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コメント

珍県民様、コメントありがとうございます。

おっしゃる様な情報は、今後も出てくるでしょうね。そこがネット時代の怖いところで、マスコミ人も旧政治家もまだ理解できてないようです。事実を曲げた情報は価値ゼロであり、ゼロは何個集めてもゼロであることも分かってないようです。

問題は、今一時的にマスコミが見方してるように見えても幻想に過ぎないこと。本文にも書きましたが、建設中止には本音はともかくも、公式には論理的根拠が見出し難いので、ネット上に真実が流布され、輿論がバッシングし始めれば、マスコミは簡単に寝返り、地元バッシングを始めることは、中東人質事件や耐震偽装事件での被害者バッシングを見ても明らかです。

そうなったとき、もう誰も地元住民を助けてはくれません。耐震偽装事件で、やたら泣き叫ぶだけで、せっかくの救いの手を自ら潰していった住民を思い出します。

投稿: ベンダソン | 2009/09/25 11:00

情報その1

民主党が公約に掲げた「八ッ場ダムの建設中止」に対して、ダム建設の推進を訴える中年男性や中年女性など地元住民の映像が各テレビ局のワイドショーや報道番組などで繰り返し流されているが、これらの地元住民が、実はダム建設推進に深く関わって来た長野原町の自民党系の町議会議員であったことが分かった。

情報その2

テレビでよくインタビューに答えていたダム推進派住人の星河由紀子さんは、実は長野原町議会議員だそうですね。
一般住民だと思っていたのに完全に騙されました。
肩書を伏せてテレビに登場させるというのはマスコミも完全にグルですね。

情報その3

地元だけどね。
農作業しながら桑(鍬?)片手にTVにでてインタビュー受けてた野口さんね。 実は野口工務店の社長さんなんだ。《備考》株式会社・野口工務店 群馬県吾妻郡長野原町大字長野原152


テレビ報道はどこまで劣化してゆくのでしょう。もう誰も信用していないことは、選挙結果を見ても明らかなのに。

投稿: 珍県民 | 2009/09/25 06:58

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