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2010/03/15

クライメート・ゲート事件と温暖化真偽説の不思議(1)

昨年暮れに発覚したクライメート・ゲート事件を御存知だろうか。なんとなくウォーターゲート事件にごろ合わせしていて、あたかも巨大な陰謀のように思う方も少なくないのではとも思う。実際、ネットでくぐってみてもメディアの記事はほとんどヒットしない。

■陰謀説?

メディアが取り上げないのは陰謀であると言う説が、ネットでは盛んに言われているようだが、取るに足らない事だからと言う見方も出来る。だが取るに足らない出来事でも、権威に打撃を与える出来事ならば、面白おかしく書きたてるのがメディアなので、ここまでメディアが取り上げないのは異常だとも言える。

■どーでも良い

いやまてよ、大手メディアならともかく、数えきれないくらいのメディア全てに圧力を加える事なんて出来るのだろうか。いやまてよ・・・・・、と際限が無い。要するにこう言った陰謀とか何とかといった推理は、面白おかしく興味もそそるけれど、事の本質の評価には実は何の関係も根拠にもならない。どーでも良い話なのだ。

■本質に関係ない

ついでに言うと、事の本質(本日のお題で言えば、温暖化の真偽)を議論するときに、こうしたプロセスの疑義や印象に関わる事実を根拠に否定するやり方には、怪しさを感じてしまう。なので、受ける印象に左右されないように、論点の本質の判断に関わる内容か否かを見極めるようにしている。そして本稿の論点は地球温暖化現象の真偽である。

さて、そんな訳で事件の概要をメディア記事から引用しようにもできないので、ウィキペディアから引用しよう。ただし、この後に概要を再整理するので、読み飛ばしていただいて構わない。(ウィキペディアの内容は論点ではない、念の為)

http://ja.wikipedia.org/wiki/Climatic_Research_Unit%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BA%8B%E4%BB%B6

<部分引用開始>

20091117日にクラッカーがCRUのサーバーに格納された個人ファイルを入手し、そこで発見した電子メールをオンラインで公開した。1996年以降の1000通以上のメールと3000以上の文書が流出し、懐疑論者達によって、地球温暖化を人為だとするための国際的陰謀の証拠であるとして取り上げられた。断片的で選択された文面を根拠にして、気候変動懐疑論者から、気候研究者らに多くの非難メールが寄せられた。地球温暖化に対する懐疑論者はスキャンダルとして喧伝し、ウォーターゲート事件になぞらえクライメートゲートと呼んだ(従って英語圏ではClimategateという言い方は中立的ではない。)メールを巡り疑惑となっている個別の争点は、下に記す。研究界、気候変動研究者らは疑惑を否定し、メールでは、間違った事は行われていないとしている。関連する科学者の所属する各機関は、この事件についての調査を開始すると発表した。ガーディアンは、デンマークで行われたCOPへの影響が懸念されると報じた。

<引用終わり>

再整理する。

     地球温暖化問題の高名な研究機関(CRU)がハッキングされ、メールが流出した。

     そのメールに「気温が上昇傾向にあることをうまく示すために「トリック」をほどこした」と読み取れる内容が書いてある。

ということ。で、トリックを施して事実を曲げたのかと大騒ぎしている人たちがいて、さらにこの騒ぎで事実を歪曲したつまり温暖化していないと信じた人々がいる、と言う事だ。

■何故温暖化虚偽説を主張する人を信じるのか

これから説明するが、温暖化は虚偽だと信じる人々は、自分で根拠を見つけ総結論したというより、そう主張している別の人たちを信じてそう思っているように見える。なぜだろうか?そもそも、何故彼らは温暖化虚偽説を主張する人を信じたのか、その根拠は何なのか。

■リベラルなオピニオンリーダー

リベラルなオピニオンリーダーの中に、地球温暖化を何らかの陰謀説であると喧伝する人がいて、その言説を皆信じているようだ。日本における、その中の一人が田中宇氏だろう。同氏がオピニオンリーダーかどうかは知らないが、氏の経歴から、オピニオンリーダーと自他ともに認めているように思うからだ。

■クライメート・ゲート事件

同氏のこちらのブログに、このクライメート・ゲート事件についてかなり詳しく書いておられる。

http://www.tanakanews.com/091202warming.htm

引用するには長すぎるので、各位でお読みいただければと思う。

■地球温暖化説はまやかし?

この記事を読むと、

     CRUのジョーンズ所長が、米国の著名な気象学者であるマイケル・マンに宛てたメールの中に、地球気温が上昇傾向にあることをうまく示すために「トリック」をほどこした、と読み取れる内容が書いてある。

     木の年輪などを使った過去千年の地球気温の指標値のうち、マンは1960年以降を実測値に置き換えるトリックを施した。

     計算プログラムにも60年代から80年代以降にかけて温度が急上昇したように見えるようトリック操作をしている。

     明らかになる温暖化捏造のからくりとして、IPCCが「ヒマラヤの氷河は2035年までに溶ける」としたのは2350年の誤植であることを指摘。

等々、地球温暖化はまやかしであり、陰謀だと言うような感じで書かれている。「感じ」としたのは、御自身の意見として断定はせず、誰かの意見として書いているように見えるからだ。

データが表す事実そのものの真偽

で、そうした書き方の中にあって、一応御自身とは反対の意見をマンやジョーンズを擁護する人々は「地球の平均気温の変化を表す時、昔の分を指標値で表し、最近の分をより正確な実測値で示すのはまっとうであり、何ら問題はない。『トリック』という言葉づかいが不適切だっただけだ」と主張している。」と紹介してはいるが、肝心要のこのクライメート・ゲート事件で「捏造」されたデータが表す事実そのものの真偽については、一切触れていない。

■カンニングの答えは不正解?

データが捏造されたと言うならば、その表す内容も間違いであるかのように思いがちだし、この記事の文章からはそういったニュアンスが伝わってくるが、かならずしもそうとは限らない。

正しい計算で出した答案も、カンニングで出した答案も、正解であるか否かの判断には関係ない。同じく、温暖化を表すグラフの作成過程にトリックがあったからと言って、その結果も間違いであるとはならないし、そもそも「トリック」と言う言葉の意味が事実の歪曲とは限らない。

■見当たらない真偽の検証

念の為、田中宇氏の記事を3度読み直したがやはり、「捏造」されたとされるデータが表す内容そのものの真偽についての田中氏自身の判断や事実関係の検証は見当たらない。

■目くそ鼻くそ

結論を言えば、仰々しく「クライメート・ゲート事件」と命名されたこの事件だが、その問題となっている核心部分は、単なる表現のプロセスの違いではなかろか。温暖化懐疑派は、自分達が疑義を提起している事の検証を避け、プロセスが怪しいから、内容もおかしいに違いないと騒ぎたてているが、その根拠がハッキングという違法なプロセスによるものなので白けてしまうのだ。なんというか目くそ鼻くそだ。

とりあえず本日はここまで。(続く)

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コメント

はじめまして。
CO²温暖化説についてですが、IPCCは水蒸気についての作用、地球がもつ水冷、空冷機能について言及していません。また、海にはたくさんのCO²がありますが、表層水と大気中のCO²は殆ど混じることがなく、深海のものは混じらないと彼らは述べています。しかし、海洋学者は混じると述べています。

水蒸気は温暖化ガスの主成分で、温暖化ガスの95%を占めます(飽和水蒸気→30℃で42000ppm、0℃でも6000ppm)。
これに比べて、385ppmしかない大気中CでCO²の温暖化は、割合が少なすぎて理論的に無理です。
(この辺りのことは、槌田敦さんの本に詳しく書かれています)

氷床コアを見れば気温が先に変動し、その結果のCO²濃度が増えたり減ったりしていることが確認できます。
この順番が逆になると言い出したのがCO²温暖化説CO²ですが、
1992年と1993年、東京と岩手の観測所で大気中のが増えていない観測結果が出ました。勿論、人為的な排出は当然あったにも拘わらず、です{つまりCO²温暖化説では人為的に排出されたCO²が何処かに消えてしまったことになってしまいます}。この時期、何があったかと言うと20世紀最大級と言われるピナツボ火山の噴火です。噴煙が太陽光を遮り、気温が上がらず、結果CO²も増えなかったのです{これも槌田氏の本に記述されています}

今年の7月半ばに驚異的な寒波が南米を襲いましたが(ブラジルでは -7.4℃を記録。サンパウロでは観測史上一番の寒さを記録した)、このことについても、
北極の氷海が6割増えたことも、
海外メディアはきちんと取り上げているのに、日本ではマイナーなメディアしか報じていません。海外では非常に問題になり、アメリカでは議会でも取り上げられたクライメートゲート事件についても、そうですが、我が国の大手メディアは、CO²による温暖化説に都合の悪い事実を恣意的に避けているようにしか見えません。

イギリス気象庁は昨年、温暖傾向は97年に終結と発表し、3万個の実測データを元に、地球の平均気温が少し下がっていると述べていました。最新のデータでは、ここ10年で0.3℃低くなっているとのこと。

ホッキョクグマは現在特に温暖な地域で個体数が増えていますし、ツバルは地盤沈下はしているものの海面はここ25年程変化がありません。

現在、CO²暖化説を国民の多くが信じこんでいる国はもはや、日本だけです。取り分けイギリスでは子供たちにCO²温暖化説は論理的におかしいので信じないようにという教育がされています。

投稿: らいひ | 2013/09/23 14:26

○ぷにょ様、コメントありがとうございます。
>深く掘り下げるとおっしゃってたので・・・
⇒うっ、そんな約束したかな(汗)

>なぜかCO2だけに適用される不思議な効果のようですがその説明がないのです。
⇒水蒸気は凝縮(雲)降下(雨)と言うメカニズムがあるので、私は特に疑問を感じませんでした。その他についてはCO2だけに適用されているのかどうかは分かりません。著者に直接確かめられてはいかがでしょう。

>話はそれますが地球温暖化係数というものがあるそうです。・・・
>・・・なぜか水蒸気の地球温暖化係数を載せているHPが見付からない。
⇒この後の(3)にも書きますが水蒸気については、良く分かりません。わからないモノに断定はできませんので分かる範囲を書きますが、一般に分からない事を分からない人々がことさら議論をしているように思えます。

いづれにしても深く掘り下げてはおりませんが、自分の知り得る範囲で自分の考えを(1)~(3)に述べます。

投稿: ベンダソン | 2010/03/17 18:25

深く掘り下げるとおっしゃってたのでこちら辺りの検証かなと思っておりました。
「地球温暖化懐疑論批判」著者:明日香壽川ほか(無料)
http://www.ir3s.u-tokyo.ac.jp/sosho
専門分野は難解で把握しきれませんが懐疑派の適当な難癖にも丁寧に説明していて基本的な部分で理解が深まる内容になっています。
そこで懐疑派でわかりやすかったページと比較します。
http://www.geocities.jp/obkdshiroshige/ondanka/ondanka.htm
ここで気になったのは議論27のCO2の赤外線吸収限界で懐疑論批判の反論で
「吸収・射出の平均回数が増加することにより、温室効果は増加する。」
とありますがこの効果をほかで検証しているケースは見当たらず、ここだけで現れた理論のような気がします。この効果は最大の温室効果ガスである水蒸気にも適用されるのであれば、これは大変恐ろしいことになるでしょう。しかし、どの研究所も水蒸気の吸収・射出の調査を行っている気配がないのです。なぜかCO2だけに適用される不思議な効果のようですがその説明がないのです。

話はそれますが地球温暖化係数というものがあるそうです。
http://www.technofer.co.jp/convini/hotnews/hotgh_03.html
温室効果ガスそれぞれの保熱力を表した数値でこれと大気内のパーセンテージでそのガスの温室効果の影響力を算出します。普通はこの係数内に上記の吸収・射出が考慮されていると考えますが明日香氏は違うようです。濃度と比較してべき乗的に温室効果が増えていくと言う主張なのです。ですが、そういった研究結果は発表されていないようです。なぜこの部分だけ地球温暖化係数を無視するのか、また無視せざる負えないのか不思議です。このブログ主も書いていますがなぜか水蒸気の地球温暖化係数を載せているHPが見付からない。
http://zebra.txt-nifty.com/blog/cat1152500/index.html
もちろん吸収・射出をも考慮している資料もない。温室効果の大部分を占める水蒸気が数%増えたらCO2の数百倍の影響がある可能性があります。

ほかにも現在地球の表面温度のCO2の温室効果の占める割合にも両者に隔たりがあり、同じ条件での議論になっていように見えます。条件が揃わないうちは結論を出すのは個人的にやめておこうと考えます。

投稿: ぷにょ | 2010/03/16 19:31

たなか様、コメントありがとうございます。

この記事は前エントリーからの続きです。
そしてゼンエントリーにも、本エントリーにも、論点を明確に書いておりますが、念の為再度書きます。

拙ブログの論点は
① 温暖化現象は起きている
② CO2は温室効果ガスである
③ CO2は産業革命以降増加し280PPMが380PPMまで上昇した
この3点を前提に考えると、温暖化が人類にとって好ましくないならば、CO2を削減しなければならない。つまり「温暖化を解決しなければならない」が課題。①②③はその構成要素。この構成要素を持って課題解決を考えるべきと言うのが論点。

従ってCO2以外の温室効果ガスや温暖化の原因は論点ではありません。またIPCCが定性的でやる気を無くさせるとか利害云々といった事も、それはそれで面白いのでしょうが拙ブログは関心無く、論点でもありません。

念の為に言えば別に貴殿の論を否定しているのではありません。何を考え何を主張されてもあなたの自由ですが、残念ながら貴殿のコメントには拙ブログ論点に関するものが見当たらず、従って内容についてはコメントのしようがありません。

いづれにしても、ブログ記事は続きます。この点も御理解いただければと思います。

投稿: ベンダソン | 2010/03/16 16:51

これは、何が問題か、ということがちょっとおわかりでないような感じを受けますね。
なんのために資源節約をするのか、ということでしょう。有限である資源を少しでも保たせるため、かつ環境に負荷をなるべくかけないように、その負荷とは汚染等の話で、CO2を減らすことなんかじゃない。だったらその御旗を立てればいいのに、CO2発生が原因のよる温暖化防止、としてしまった。

すると、目的達成のために手段はどうでもよいのであればそれでも構わないが、手段に利害が深く関係し、虚偽はどこかに歪みが生じてしまうことはおわかりかと思う。それが問題なのでしょう。

IPCCのデータは科学的ではなく、定性的というか結果誘導的というのが判明してしまった。結局資源利用の抑制というのは人にとっては制限事項な訳だから、理由付けがなくなればやる気がなくなることにもなるのは自然で、貴兄が言うとおり「IPCCのデータが間違っていようとも、資源抑制はやるべき」ですが、今出ている懐疑論のように、抑圧の原因に虚偽の可能性が出てくれば反発されるのは自然なことでしょう。これだって「歪み」の一つでしょう。

他にも、これは仮りに、という話で聞いてください。たとえば真面目に太陽の黒点活動と地球の寒暖の関係を調べている研究者がいたとする(もしくは地球の長い歴史の中での寒暖のサイクルを研究している、でも結構です)。で、実は今の温暖化が実はそれらが原因とする論拠がいくつもあったとしましょう。でもCO2の原因にしたい人々がいたら、その論拠は邪魔なものとなります。当然CO2論者が脚光を浴び、収入も増え、黒点活動や寒暖サイクルの研究者は、仮にそちらが真実だとしても、日陰に追いやられてしまうわけです。
これは「黒点活動」「寒暖」研究者が正しく、「CO2」研究者が間違っている、ということをいいたいのではなく、資源抑制という結果はともかく、手段である研究で利害が発生してしまう一例ではないでしょうか。

「そんな研究者の利害よりも、資源枯渇や環境負荷の方が大切」といわれるかも知れません。でもこの研究者のストーリーは「一例」でしかなく、各段階でそういうことが起こっている、ということが充分に考えられませんか。

ではなぜ同じ目的を達成させるのに「資源節約」ではなく「CO2抑制」を錦の御旗にしたのか、ということです。

それ以上は貴殿は私より頭がいいので、イメージできるのではないかと思います。

投稿: たなか | 2010/03/16 10:40

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