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2010/03/17

クライメート・ゲート事件と温暖化真偽説の不思議(2)

では件の「捏造」されたとされるデータが表す内容を検証してみよう。先ずは年輪からの推定温度に60年以降を温度計データで接ぎ木したとされる問題の図のURLが田中宇氏のブログ記事に紹介されているが、それがこれだ。

http://www.wmo.ch/pages/prog/wcp/wcdmp/statemnt/wmo913.pdf

Clim1

このグラフはURLからも分かるようにWMO(世界気象機構)の

2000年版報告書に掲載されたものである。念の為に言えばIPCCの報告書に掲載されたものではない。

■懐疑派が問題視しているIPCCの報告書では

多くの懐疑派が問題視しているIPCCの報告書は、気象庁のHPIPCC 3次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約(2001,気象庁訳)として掲載されており、誰でも読む事が出来る。

http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc_tar/spm/spm.htm

http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc_tar/spm/fig1.htm

Clim2

それを見ると、このように、捏造と言われている様子の件の図では温度計のデータは復元されたデータときちんと区別され、重ねて赤で描かれている。この図がいろいろな形にアレンジされ、良く言われるのが「ホッケースティック」である。

この図の灰色部分は誤差の範囲を表しているのだが、そこを無視して青と赤の線を繋ぐとホッケースティックを横に寝かせたように見えるので、「ホッケースティック」と呼ばれセンセーショナルに扱われてしまった。

■捏造云々と言う人々は肝心のグラフを見ていないのでは?

その後のIPCC第4次評価報告書では、複数の研究結果のグラフが重ねて表示されているが、別にクライメ―ト・ゲート事件で指摘されてではない。何しろ事件の2年前の2007年に発表されたのである。捏造云々と言う人々は肝心のデータとかグラフを見ていないのではないだろうか。

これも、こちらからダウンロードできる。

IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書 技術要約(PDF,15.74MB

この38頁上の図がこれだ。

様々な推計値に加えて、機器によるここ200年を実測値を黒の実線で重ねて示している。これを見ても分かるようにクライメートゲート事件は、近年地球が温暖化している事実には影響が無い。

Clim4

■秘密でもなんでもない

また、これら推計値のうち年輪のデータが「下がる」ことは、秘密でもなんでもなく、先の問題とされるグラフを作成した1人キース・ブリファ(イーストアングリア大学気候研究ユニット副所長)自身が、問題のメールを書いた前年にその事を発表している。

■捏造グラフとは

ところで、クライメートゲート事件で暴露されたメールで捏造とされたグラフは、1960年以降の年輪データが温度計のデータと合わないので、それ以前の期間のみ年輪データを使ってグラフを描いたものである。

■懐疑派の指摘ももっとも

確かにこの表現方法は、懐疑派が言うようにおかしい。そういう判断は見る側がすべきであって、このグラフはおまけに、接ぎ木した部分をスムーズに繋げてしまっているから、恣意的と言われても仕方あるまい。だが実際のIPCC報告書では上記のように二つ若しくは複数のデータの取り方を重ねて表記し見る側の判断にゆだねている。

あえて懐疑派を擁護するならば、誤差は誤差として判断基準を統一しなければ、相対評価できないから、全部を年輪データとすべきだろう。その結果、実は温暖化どころか逆だと言うならば、それは年輪データで判断するかぎり温暖化していないと言うことになる。

■だから何?

つまり温暖化の真偽の確実性ではなく、或る限定的な指標に基づくならば温暖化懐疑派の主張はもっともな事ではある。だがそれで?でもある。つまりだから何なのだろうかと思ってしまう。

なにしろ、それは当然に年輪データにおける相対評価である。しかし年輪データには誤差が多いからそれを事実とは断定できない。現実にここ200年程度の世界気温を見るならば、より正確な温度計のデータがあるのだからこちらを見るべきだろう。

■論点は今現在の気候変動

要は何をデータから表現したいのか何を知りたいのかである。当然それは人類の危機であり、その事の真偽であって、表現の仕方やプロセスではないだろう。従って論点は1000年間の気候変動の是非ではなく今現在の気候変動なのである。

■大事なのはプロセスではなく答えが正しいか

懐疑派が非難する表現プロセスの恣意性は間違いではないが、だからと言って間違ったプロセスで表現されたものも間違いであるかのように主張するのは間違っている。真実は、表現のプロセスとは全く関係ない。先に述べたように1足す1が2である事は、カンニングしようが、自分で計算しようが、エライ人の言う事を鵜呑みにしようが、正しいのである。

■権威に盲従?

真実を求めるとき、権威だからと盲目的に従う必要は無い。自分の目と知力で根拠なる事実を見極める姿勢が必要だろう。とは言え、専門領域外の事となれば、なかなか判断がつきにくいのも事実。

■信じる人は騙される?

そうなれば、この人の言うことならば大丈夫だろうと、或る程度他人の言説を信じるのも理解力を助け、思考の効率化を図る上ではアリだろう。だがそれは自分の知力の限界を超えた場合の指標だ。初めから他人の言説を、深く考えもせず信じてしまい、己が知力のフィルターを通さないならば騙される可能性が非常に高い。

■何が大事か

拙ブログの前記事は、何が大事かと言えば①温暖化現象は事実、②CO2は温室効果ガス。この事から地球温暖化を抑える為にはCO2削減が必要である事とCO2削減は省エネ・再生エネルギーになるのでどの道必要である事を述べた。この考えの中には温暖化の原因なんてどうでもよいのだ。

■分かっている危機

現に起こっている現象が人類にとって危機をもたらす事(=温暖化)が分かっていて、その現象を助長する原因(CO2)も分かっていて、何故その対策を取る事に反対するのか。その反対理由に正当性があるとするならば、現象か助長する原因を否定するしかあるまい。

念の為繰り返すが、ここで問題とする温暖化を助長する原因とは温暖化の原因の事ではない。温暖化現象の犯人が自然現象だろうが人為的だろうがそんな事はどうでもよい。温暖化現象が人類にとって受容できない事が問題なのだ。

そして温室効果ガスのうち(水蒸気を除けば=後述)最もボリュームがあり増加しているのがCO2なのである。前エントリーから何度も同じことを書いて申し訳ないが、これだけしつこく書いてもまだ論点を理解できない人がいるからだ。

とりあえず、本日これにて(次回3で終わり)

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コメント

○田中様、コメントありがとうございます。

そうですね、貴兄のおっしゃる通りかと思います。

投稿: ベンダソン | 2010/03/18 13:14

だから、CO2が原因なのか、温暖化したからCO2が増えたのかはこれではわからないでしょう。炭酸水が温まれば水に溶けたCO2が空気中に放出されることは、日常生活でもわかることですし。
つまり、これが人為的ではなく、地球や太陽の活動の結果としての温暖化であれば、人間がどうあがいても仕方がない、ということ。でも「人間にどうしろこうしろ」とこれを論拠に特定の人々だけに都合がよくなるような圧力かけたり、「CO2が出ないから」といって、廃棄物問題に「臭い物に蓋」でごまかして行っている原発の推進など、そんなモンに利用されちゃ困るでしょ。それに「資源の枯渇」ならばそれは明白な事実なので、それが理由でいいじゃないですか。なのにそうは言わない理由がある、それはその「特定の人々」にとって都合が悪いからに他ならない、ということではないでしょうか。それにウランだって有限資源ですからね。
事実をねじ曲げ、それによって肥える人々がいる。それだって結果が正しければいいじゃないか、と貴兄は考えている気持ちはわかります。でも地球や太陽の活動が原因ならば、「温暖化防止」という結果に対して「正しくなる」とはいえないんじゃないのかな。「資源枯渇」「環境負荷低減」には有効になるかもは知れないですが。だったらそう言やぁいいのにね。
まぁ政治的なものを推進する時は、このエントリと私のコメントのようにある程度意見が分裂していた方が為政者達にとっては都合がよく(沖縄基地問題なんてその最たるもの)、こんなCO2の話だってもはや政治問題となってしまっている現在となっては、結局は我々もその一端を担がされているだけ、ってことですよ。まぁそれでもCO2排出削減賛成を皆にわかって欲しい、わからせたいというなら、頑張って懐疑派を説得してください。期待してます。

投稿: たなか | 2010/03/18 10:07

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