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2010/04/30

クジラ

万感の思いというか、短いフレーズの中に真理がぎゅっと凝縮されている言葉に時々で出会う。そんな一つが「今やろうと思ったのに言うんだもんなあ」だ。かつて西田敏行がコマーシャルで吐いたセリフだ。何のCMだったかは思い出せないが、このセリフだけは定着した。

たった1行で済むこのセリフは、1000ページのレポートよりも分かりやすく、脳髄を直撃する。拙ブログが同じことを表現しようとしたら、ブログ読者は途中で寝てしまうだろう。ところで今日のテーマはそういうことではない。

と言ったところで既に周りくどくなっている、スマン先に行こう。

要は「今やろうと思ったのに言うんだもんなあ」が表す事態の事だ。?と思われたところで、先ずはこちらをどうぞ。

http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010043001000057.html

<引用開始>

反捕鯨団体代表カナダ人に逮捕状 東京海保、国際手配へ

 反捕鯨団体「シー・シェパード」メンバーによる調査捕鯨船妨害事件で、東京海上保安部は30日までに、傷害や威力業務妨害の疑いで、団体代表のカナダ人ポール・ワトソン容疑者の逮捕状を取った。

 近く国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配する。

 逮捕状の容疑は、ワトソン容疑者は今年2月、抗議船元船長のニュージーランド人、ピーター・ベスーン被告(45)=艦船侵入や傷害などの罪で起訴=と共謀し、異臭を放つ酪酸入り瓶を捕鯨船に投げ入れるなどの妨害行為をした疑い。

 ワトソン容疑者は、この時の妨害行為に使われた抗議船「スティーブ・アーウィン号」の船長。捕鯨船側が妨害行為を撮影したビデオでも乗船が確認された。

 瓶を投げ入れていたのはベスーン被告1人だったが、ベスーン被告への調べで、ワトソン容疑者が指示、共謀した疑いが強まった。

 シー・シェパードについては2007年にあった妨害活動で、警視庁が翌年、米国籍の男ら3人を威力業務妨害容疑で国際手配している。

2010/04/30 10:51【共同通信】

<引用終わり>

この手のニュースに接すると、おそらくかなりの方が不快感を持つだろう。念の為に言うと「シー・シェパード」に対する不快感だ。調査捕鯨船に体当たりしたり、自分達が絶対に正しくて、クジラを殺す日本人を一方的に悪者扱いするから、ホントなんてやつらだと思う。

さて、ここで、自分の胸に手を当ててチョイと考えてみよう。我々がアタマに来てるのは「捕鯨禁止」なのか「捕鯨禁止活動」なのかだ。おそらく大多数の日本人は、「捕鯨禁止活動」にアタマにきてるのではあるまいか。

だって実際問題、クジラが無ければ生きていけないなんて人は先ずお目にかかれない。これがマグロだったらそうは行かないだろう。筆者のようにマグロが食えないとなると発狂する人は少なくないと思うが、クジラが食えないのは我慢ならないと思う人が何人いるだろうか。

念の為繰り返し論点を明示するが、ここで問題にしてるのは、捕鯨の是非ではなく、クジラが日本人の食生活に不可欠か否かだ。落ち着いて、先ずそこを考えてみよう。

先ずクジラが美味いかと言われれば、私は美味いと思う。特にクジラベーコンとネギの千切りにカラシ醤油をからめた居酒屋メニューはたまらなく好きだ。だがたくさん食いたいとは思わないし、無きゃ無いで別にガッカリもしない。有れば食いたい程度だ。

クジラの刺身も美味い!だが、これ馬刺しでも良いし牛刺しならもっと美味い。じゃクジラのステーキはどうだ。ハッキリ言って、これはノスタルジックではあるが貧乏人がビフテキを食えない時代の代用品としてのノスタルジーだ、決して三丁目の夕日のようなノスタルジーではなく、どこか思い出したくない悲しい思い出だろう。

要するに食材として見た場合、高価な代償を払ってでも食いたいほど特別に美味いとは思えない。同じ高価な食材ならば、大トロやフグに走ってしまう。クジラは決して高級な食材ではなくサンマやイワシのレベルだと思う。ただしこのへんは主観なので、人によってはそうじゃないと言う方もおられよう、それはそれで良いと思うが、小生にとってはクジラより大トロと言うわけだ。

で、実際に日常生活においても、クジラを食いたいと言う人にはトンと御目にかかれないし、会社の上司やエライ方々に聞いても、懐かしいとは言うが、クジラを食いたい言う方にはほとんど御目にかかれない。

曰く「クジラは、オレたちが若いころは牛肉の代用品でなあ、良く給食でクジラの竜田揚げとか食わされた。それなりに美味かったが、代用品のイメージが強くて、今はわざわざ食いたいとは思わんよ」と。

だから、ここでハッキリ言っちゃおう。クジラはトラブル起こしてまで食いたいモンかね、と。結局「クジラは日本の食文化だ」と言ってる方もクジラが好きで何としても食いたいと思っているのかは分からない。

「クジラは日本の食文化だ」との主張は実際その通りだから正しいが、だから守らなければならないかと言うと、他にいくらでも食材があるので、あまり説得力はないように思う。クジラを純粋に食材として評価すると、こうなるようだ。

ところが、では捕鯨の是非となると、そうでもない。先ず第一に諸外国から捕鯨をヤメロと言われるのが気に食わない。ましてアメリカ人から言われると、オメーらだってバッファローを殺して食いまくって絶滅させたじゃないかと、言いたくなる。

一言で言えば、大きなお世話なのだ。実はこのロジック、対象は何だって良いと思う。例えば少々乱暴だが、分かりやすい例を挙げれば「トキを焼き鳥にするな!」と言われるようなもの。まあ、日本の食文化にトキの焼き鳥が有ったかどうかは知らないが、明らかに絶滅危惧種であり、トキを普通には食ってないから、「食うな」と言われても「ンなこた分かってる」と返すだろう。

では、今度は「鴨を食うな!」と言われたらどうだろう。日本人は「ふざけるな!かも鍋は日本の文化なんだ」と怒りだすだろう。クジラはこの中間のどちらかと言えばトキよりに位置してるように思う。

でもって、クジラは高度な知能を有すると言うのが最近の認識なので、諸外国からはクジラを食うのは野蛮と思われている。それを考えると、野蛮と思われてまでもクジラを積極的食いたいと多くの日本人が思うだろうか。

おそらく、世界中でクジラは高等知能を有するから捕らない、食わないとなったら、別に捕鯨が禁止されてなくとも、日本人も食わないのではないか。捕鯨しても国民が食わなければ、捕る意味が無くなり自然に捕鯨は業として成り立たなくなるのではないか。そう思えるのだが。

ところが、一方的に捕鯨禁止だと国際条約で押しつけられたり、シーシェパードあたりから日本人は野蛮だみたいに決めつけられ、ルール無視の攻撃をされるもんだから、なんとなく日本人はバカにされたように思ってしまい頭にきてるように思うのだ。

正に捕鯨禁止を押し付けられる事は「今やろうと思ってるのに言うんだもんなあ」である。捕鯨禁止なんて別に強制されなくたって、日本では自然に無くなるような気がしてならないのだ。クジラは捨てるところが無いとは良く言われるが、現代の市場において、敢えて積極的に捕る価値が有るかどうか、いまいち冷静に考えてみてはどうだろうか。

捕鯨禁止に反対する人々は、一生懸命に日本の食文化を訴えるが、それも外圧によって禁止されるから成り立つ理屈であって、禁止されてもいなければ、みそ汁は日本の文化だ!納豆は・・・と叫ぶ人がいないように、特に声高に言う必要も無いだろう。

いつもシーシェパードとかの、強硬な抗議を見ていると、この人たちは本当にクジラを守ってるのだろうか、単なる売名行為じゃないのかとの疑念が晴れないし、これだけ強硬なやり方が国際的に問題視されにくいのは、根底に捕鯨反対の国際世論があっての事だろうから、そこまでして我々日本人は本当にクジラを食いたいのだろうかと、両面の疑問が浮かんできてしまうのだ。

おそらく、捕鯨OKとなったら一番喜ぶのがシーシェパードパードで、一番焦るのが捕鯨会社ではあるまいか。

シーシェパードパードは益々、怒り狂い捕鯨反対運動を展開しやすくなるし、捕鯨会社は自由に捕鯨出来るからクジラの市場価格ががた落ちになるけれど、消費は伸びないからだ。

その先はどうなるかと言えば、捕鯨禁止されていれば高価だったので、高級食材に見えたものが、自由化されて安いとなれば、何やら益々代用品のようにビンボー臭くなる。その上国際世論の非難を押し切ってまでクジラを食う人が果たしてどれくらいいるだろうか。

なんか、国際条約で禁止されてるから、バッファローを食いつくしたやつらに、いちいち指図されたくないってな気持ちになるが、タダ単に国際世論としてなんて日本人は野蛮なんでしょと言われりゃ、そこまでした食いたいとは思わないんじゃないか。

日本人が、捕鯨にこだわってるのは、案外「今やろうと持ってたのに言うんだもんなー」なんじゃないかと思うのだが・・・。

それでも何が何でもクジラを食いたいと思う人は当然いるとは思うが、国際社会における日本国民の評価を考えると、捕鯨にこだわる事は、「利」と「得」のバランスが崩れており、あまり得策ではないような気がしてならない。

まあ、つい先日、マグロも禁止かと騒がれた時には、うわっ!てーへんだあ、今のうちにマグロを食っとこうと、すし屋に駆け込んで、ダイエットに失敗したベンダソンの妄想だと言われりゃ返す言葉も無いが、そう外れてもいないような気がする。

本日これにて、

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コメント

>でもって、クジラは高度な知能を有すると言うのが最近の認識なので、諸外国からはクジラを食うのは野蛮と思われている。

最近というよりむしろ昔の認識ですね。
http://togetter.com/li/30234

イルカ高知能説をガチで信じ込むにはある程度古い時期、具体的には60年代から70年代ぐらいまでに、多感な若い時期を過ごせ必要があります。それ以降は様々な科学技術の発達によって、そこまで無茶を信じられる余地がなくなったからです。
その条件を満たす人というのは、2010年現在では必然的に、お年寄りということになります。このオバリーも、SSのワトソン船長も、そろってお年寄りなのは、ひとつには単にそういう年代的な理由です。別に年寄りだから引きつけられてわけではなくて。


>それを考えると、野蛮と思われてまでもクジラを積極的食いたいと多くの日本人が思うだろうか。

>現代の市場において、敢えて積極的に捕る価値が有るかどうか、いまいち冷静に考えてみてはどうだろうか。

同性愛者だって人口では少数ですが弾圧してよいものでしょうか?
捕鯨問題の本質は「差別」でしょう。
他国が反対しているから、という理由で差別に同調する人は、平気で少数者を差別してしまう思考回路なんでしょうね。

>ちなみに専門家によると、そもそも現在では調査捕鯨も沿岸捕鯨もまったく儲かっていないそうです。原因は流通経路がないことと日本人の通常の食生活から外れてしまったためにそもそも需要がないことがあるそうです。

専門家(笑)
反対派のデマじゃないの?
というか調査捕鯨の副産物は商業目的ではないからわざと価格を抑えているのですよ。
需要がない、とか嘘丸出し。

投稿: アリア | 2010/07/27 08:05

まったく同感ですねー。

ちなみに専門家によると、そもそも現在では調査捕鯨も沿岸捕鯨もまったく儲かっていないそうです。原因は流通経路がないことと日本人の通常の食生活から外れてしまったためにそもそも需要がないことがあるそうです。
そのため、現在の捕鯨は基本的に補助金で運用されています。ある外国人専門家が、日本の捕鯨はひと言でいえばbureaucratic whaling(官僚捕鯨)だと書いていますが、現在では外洋捕鯨船は水産庁の国策会社の一隻しかなく、利益が基本的にないので補助金でまかなっています。
これだけ補助金づけになっている産業も珍しく、専門家たちは捕鯨が解禁されて完全に市場化されれば、需要がないので捕鯨産業は消滅するだろうと言っています。

それから、クジラは知性が高いというイメージは、複数の異なる種のクジラの特徴を合成して作られた非現実的なものだといわれています。
実際に、ある種類のクジラはそれぞれ知性と結びつけられるような特徴(鳴き声によるコミュニケーション、社会行動など)を持っていますが、実はひとつの種がひとつぐらいの特徴を持っているだけで、全部を併せ持っている種は存在しないそうです。鳴き声でコミュニケーションする動物なんていくらでもいますから、それだけで知性があるようには見えないですよね。
しかし、これら異なる種の特徴を全部合成すると、一見知性があるように見える仮想のクジラが生まれる訳です。実はこのことは海外でも批判されていて、こういう仮想クジラをsuper whaleといいます。

投稿: AM | 2010/05/30 23:23

○ぷにょ様、コメントありがとうございます。

>状況によっては絶滅危惧種のみならず人間を食す必要もあるのですから。


ウゲッ!アンデスの聖餐ですか。ちと、重いなあ。

最初から、この記事は「その他どうでも良い事」に分類しているように、あまり深い意味は有りませんので、どうぞよしなに。

投稿: ベンダソン | 2010/05/02 01:45

私はクジラは苦手でなくても構いませんが、トラブルのもとになったとしても捕鯨は続けて問題ないと思いますよ。クジラにはカモと同じ部類の種もいますし、トキだって絶滅の原因は乱獲だそうなので普通に食べていた種類じゃないでしょうか。
ゴリラであろうとパンダであろうと種の保存に手を掛けない限り、食べたい物を食べるのが人間という動物です。人間は動物であるということを忘れるから頓珍漢な答えが出てくるのです。
状況によっては絶滅危惧種のみならず人間を食す必要もあるのですから。

投稿: ぷにょ | 2010/05/01 12:56

○Henry様、コメントありがとうございます。

>クジラより大トロなんて、どこの御大尽様でしょう?

⇒あまり深い意味は無くて単なる比喩なんですが、不適切ならば訂正します。

>ところどころ基本の原理原則が荒っぽいですね。

⇒たぶん、御指摘の通りかと思います。」タブンと言うのは、それほど深く考えてもいないので。

>「クジラは高等知能を有するから捕らない、食わないとなったら」って、これナチズムの再来じゃないですか。これだけは譲れなくてコメントしました。

⇒ごめんなさい、理解できませんでした。これ別に貴兄を否定しているのではなく単純に意味が分からないと言う程度です。

どちらにしても、捕鯨問題はそんなに目クジラ建てる問題何だろうかと。賛成でも反対でもどっちでも良いけれど、ま、その程度の話なんで、おまけにどうして食わなきゃならないほど美味いもんでもないから、メンドクサイ、止めればってなもんです。

投稿: ベンダソン | 2010/05/01 09:18

いつも読ませていただいてますが、今回の記事はいけないなー。
クジラより大トロなんて、どこの御大尽様でしょう?と突っ込んでみる。おおまか主張は理解できるし共感できなくは無いが、ところどころ基本の原理原則が荒っぽいですね。あなたらしくない...
「クジラは高等知能を有するから捕らない、食わないとなったら」って、これナチズムの再来じゃないですか。これだけは譲れなくてコメントしました。

投稿: Henry | 2010/05/01 08:30

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