課長島耕作の面白さ
昔は結構週刊モーニングといったコミック週刊誌を読んでいたが、ある時期から文字小説に目覚め、ここ20年くらい全くコミックから遠ざかっていた。ついでに言うとパチンコも。
学生の頃は毎日のようにパチンコ通いしていたが、社会人になると、たとえ大当たりしてもパチンコよりも仕事を一生懸命やった方が稼げるので、ギャンブルの意味が無くなり遠ざかった。何より仕事が面白くて、自分にとっては最高の娯楽だった、と言うのも関係してるかも知れない。
だから当初は、仕事に対して、こんな面白い事をやって、お金もらっていいんだろうか、こっちから払ってもいいくらいに思っていた。いやいや生活の為に仕事をしている人に比べれば、非常にラッキーだったと思う。
そんなわけで、時々打ち合わせの合間の時間つぶしにパチンコをする事はあったが、それも平成になってからは全く記憶に無いから、もう20年以上パチンコとは縁が無い。コミックも同じだったが、先日、かかりつけの病院で手にしたコミック週刊誌に、「社長島耕作」と言うのを見つけて、たまげた。
あれまあ、島クンは課長から何時の間に社長サンになったのね。チョイの間の1話だったので内容は良く分からないけれど、結構面白そうだった。で、話は一応ここで終わりだ。
その事は忘れて、秋葉原でPCの部品を調達中に、何を思ったかブックオフなる店舗に入った。そこで何気にある戦記物小説を買い、電車の中で読み始めたらやたら面白い。続編をと思ったが、でもかれこれ20年近く前の本なので、勿論普通には売ってない。
で、仕方ないから、適当にドライブ途中に見つけたブックオフに入ったら、残念ながら目的の作家の本は一冊も無かった。多分、どういうわけか、秋葉原の店舗にだけマニアックに揃えてあったのだろう。
代わりにと言う訳じゃないが、店内をぶらぶらあるいてたら、1冊105円コーナーで、「課長島耕作」があった。多分あまりにも古いから投げ売りしてたんだろうが、チョイ立ち読みする限り、今とさほど変わらない雰囲気で、結構面白そう。で、まあ、懐かしさもあって、全巻買ってしまった。それでもたった2千円程度だ。
でだ、たいして期待もしなかったこの「課長島耕作」、はまりましたねえ。何が面白いかと言うと、『もちろんストーリー展開もさることながら、時代背景が、物語と完全にシンクロしていて、そこが妙に、後では気がつかないような描写があって、実に新鮮なのだ。
例えば、物語の最初のシーンで、課長島耕作が社宅の前で、電池式石油ポンプで、石油ストーブに石油を入れるシーン。時代背景は1980年代、ジャパンアズナンバーワンと言われた頃で、バブルのちょい前だ。
この時代、勿論、貧乏な我が家でもFFファンヒーターだったけど、おそらく借家である社宅では、1部上場企業といえども、暖房は芯式の石油ストーブだったはず。エアコンが暖房器具として普及したのはその後だ。
こんなシーンは、今の時代から遡って描いても、絶対に思い浮かばないと思う。リアルタイムで時代とシンクロしていたから描けたのではないだろうか。こう言う些細なところばかりではない、メインのストーリーにも、ははあと思うところがあって、例えば、立体テレビがある。
島耕作クンが勤めるハツシバ電気が立体TVを開発したと言うシーンだが、そういえば確かに、90年前後のころ、立体テレビなるものが話題になっていた事を思い出した。当然に普及するだろうなと思っていたら、話題になっただけで、そのうち記憶からも消えていってしまった。
そしてそのころ、お台場近くに住んでいて、1年中海水パンツ1丁で暮らしていた私は、フツーに門前仲町の駅前で売っていたTV電話を見て、こんなもん誰が買うんだろうと思ったもんだ。これもいつの間にか消えてしまった。そして再び今になって3DTVだそうだ。
そうやって考えると、この20年間、日本の社会はほとんど変わってないように思う。正確にいうと、変わってないのではなく、その前の20年あるいはさらにその前の20年と比べると、技術とか生活水準の進歩がかなり緩くなっているように思うのだ。
かつて2001年宇宙の旅を見た時、本当に2001年の世界はこうなるんだろうなあと思っていた。何しろそのころはバンバン月に有人宇宙船がいってたんだから、30年後は普通の宇宙旅行が出来るに違いないと思ってた。
ところがいざ2001年を迎えると、あれれ、こんなもん?てなもんで拍子抜けし、さらに今や2010年だ。オイオイ約束が違うぞみたいなガッカリ感がある。
例えば1990と2010年の生活シーンは、インターネットと携帯電話の普及があったくらいで、ほとんど変わってない。1970年と1990年の差も似たようなもんだ。だけど、1950年(←知ってる訳ないが)と1970年ではトンデモなく違う。
なわけで、課長島耕作を、今読むと、細かい時代背景とかで、思わずハタと手を打ちたくなるシーンがそこここに出てくるけれど、それ以外は、現代の物語として充分に通じるし、違和感もない。ああ、そうだったよなと言う思いと、今と全然かわらんなあと言う思いと、両方味わえて、意外な面白さを発見した次第。
それとともに、コミックとは、映画と違いどんな時代背景も自由自在だと言う事にも気がついた。こんな事当たり前すぎて、気づいたと言う程の事ではないけれど、見たことも無い未知なる宇宙空間から、戦国時代だろうが石器時代だろうが自由自在、どんな時代背景でもセットの費用が無いのは、とんでもないアドバンテージだ。
と言うわけで、今古本屋で、古いコミックを安く手に入れるのがマイブームだ。いやね、たまにはこういうコミックもイイもんですよ。ソクラテスやニーチェ、はたまたロシア文学やらも良いけど、ちと飽きたんでね(汗)。
本日これにて、
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コメント
謝々!(汗)
投稿: ベンダソン | 2011/09/25 00:11
このブログおもしろいね^^b
投稿: 通りすがり | 2011/09/24 22:36