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2010/11/05

論点定まらない尖閣ビデオのバカ騒ぎに辟易

尖閣ビデオ問題、ついに行きつくところまで行きついたようだ。この問題、根っこが狂っているのに枝葉ばかり取りざたされるから迷走するのだ。何が根っこの問題かと言えば、「領海侵犯」それを「(表向きは)司法を預かる一地方行政庁の独断でもみ消した事」であり、「ぶつけたか否か」「ビデオの流出の責任論」は2次的な話なのだ。

例によって根っこを見ないで、枝葉の議論に皆さん終始しているように思う。ビデオがユーチューブに流出したことで、国会もマスコミも大騒ぎだ。情報管理がなって無い?そのとーりだ。情報漏えいした犯人はケシカラン、そのとーりだ。否定はしない。だが問題にする優先順位が狂ってないか?

領海侵犯した漁船を、(表向き?)那覇地検が勝手に釈放した。この事は一見、けが人も出ていないから大ごとに捉えない向きもあるかも知れないが、内容的には国家の危機そのものだから重大事件だ。事件の構図を整理してみよう。

     第1の犯罪(重罪/領海侵犯)=犯人Aは、領海侵犯し、現行犯逮捕された。

     第2の犯罪(共犯/逃亡幇助)=検事Bは、犯人を釈放し事件をもみ消した。

     第3の犯罪(内部告発/機密漏えい)=Cは、第一の犯罪の証拠ビデオを開示し、事件をもみ消した第2の犯罪を明らかにした。

     マスコミや野党は、第1、第2の犯罪には目を向けず、それを告発した手続きばかりを問題にしている。

例えて言うならば、時速300キロでつかまった違反を警官がもみ消したので、その証拠を開示したら、情報開示だけを厳格に捉えケシカランと騒ぐようなもの。騒ぐなら、違反事実とそれを封じ込めた事だろう。怒りの矛先の優先順位が狂っている。

おそらく、第3の犯罪として情報漏えいした犯人は、直ぐに逮捕されるだろう。国家のガバナンス維持の観点からは当然に罰せられなければならない。情報漏えいした犯人にどういう意図あるいは主張が有ろうとも、これまた国家体制を危うくする独断専行であるからだ。愛国無罪がまかり通るならば、226の青年将校と同じになってしまう。

だがそれ以上に問題なのは、第1第2の犯行だ。第2即ち犯人釈放が犯罪ではないとするならば、釈放した船長は犯罪者ではない、と言う事は犯行は行われなかった事になり、その事実を映したビデオは何ら秘密にすべきものではないから情報漏えいと言うには無理がある。

情報漏えいと言うならば、その前提として事実を秘密にしなければならない事になる。行政が秘密にしなければならない情報とは何だろうか。行政は公益のために有るのだから公益に反する情報だろう。ところがビデオに写っていたのは、領海侵犯と言う公益を犯す行為だから、それを釈放した事は公益を犯す行為であり、それらを明らかにする事は公益を守る行為になる。ここで矛盾に突きあたる。

では、どういう場合に領海侵犯と言う違法行為を見逃す事が公益となるのだろうか、それは個人の勝手な解釈では成り立たないから、その行為が公益であると公にされた場合だ、つまり法を造り、運用する責務を有する国家の判断として明示した場合だ。その場合は時には超法規的措置も良い悪いは別にして成り立つし、事実そうしてきた。

ところが、この度の尖閣領海侵犯事件では、そうした措置は一切取られていない。国家の政治的判は断無いとして、あくまで司法当局の法に基づく判断なのだから法的に全ては辻褄が合わなければオカシイ。しかし、どこを取ってみても辻褄が合わずジレンマに陥る。

結局は、領海侵犯が明らかなのに、政府の判断で釈放したとしないで適法な措置とするから、こうした矛盾が生じるのだ。根っこが狂った措置は、いくら小手先で誤魔化しても構図全体が狂っているから、直ぐに破たんしてしまう。木を見て森を見ない人々にしか通じない誤魔化しなのだ。

木も見るが、森も見える人には、こういう誤魔化しは通じない。なのに、一生懸命に小手先の話しに終始する人々はいったい何が目的で、何のために、こんなバカ騒ぎに乗っているのだろうか。単に真実を知りたいならもう知ってしまっただろう。

漁船が違法である事は、このビデオ流出で消せない事実と化してしまったから、今となっては、もうビデオの公開非公開なんて議論は何の意味も無くなった。要は民主党のバカ政権が取り返しのつかない大失態をやらかした事が明らかになってしまったのだ。

その取り返しがつかない事をしてしまったのに、未だに小手先のごまかしで乗り切ろうとしている。現政権の中枢にいる人々には良心が無いか、本当のバカかどちらかだろう。

過ちを改めるに遅すぎる事が無いと言えたのは、このビデオが流出する前だ。もう、手遅れ、どうにもならないだろう。それでも、まだこれ以上小手先の誤魔化しを続けるならば、まだ「過ちを改めるに遅すぎる事が無い」と言ってやりたい。少なくともこれ以上悪化させないためにね。

では何を改めるのか。素直に国策として船長を釈放するため、那覇地検に命令を出しましたと官邸が認める事だ。当然に責任は取らねばならないから内閣総辞職だ。発足から一カ月ではカッコ悪いなんて理屈は無し、これ以上失態を続けるならば、カッコ悪いも何もない。国が持たないと思う。

菅さんは決して悪い人ではないだろう、仙石氏もだ。だが能力が無いのだ、真面目なだけでは国家は任せられない。清濁併せ呑めとは言わない、そんなのは能力あっての話だ。能力が無ければ、いくら真面目でも、国家を危うくするから結果的に大罪を犯すことになる。先ずは己の無能さが分かったなら素直に退場すべきだと思う。それが良心ではないか。

ここまで言うと酷に聞こえるかもしれないが、領土問題と言う国家存亡の根幹に関わる問題に対して、未だに解決の糸口すら見えず、こて先に終始している以上は、国民としては頼むから退場してくれとしか言えない。それとも何か期待が持てる兆候でもあるのだろうか。有れば教えてほしいものだ。

拙ブログ過去ログでは、同じ党内の代表選なのに、政治と金を持ち出す論理矛盾に気が付かない菅氏の危うさを指摘し、墓穴を掘るだろうと危惧したが、こうも早く破たんするとは、情けない。

長の一念とはよく言ったもので、菅・仙石体制になり小沢氏排斥になったところで、既に私達が期待した民主党ではなくなった。かつて個人的に応援した民主党新人議員も、菅政権になった途端に上ばかり見るヒラメ議員と化し根っこが全く感じられなくなった。

かつて小沢独裁と民主党内からも揶揄されていたが、本当に独裁ならば、そんな声は上がらない。今の民主党の方がはるかに暗く、モノを言えない雰囲気なのだ。そして、頭の固いジジイばかりの党員サポーターをネガティブキャンペーンで誘導し、コップの中の嵐を勝ち得ても、そんなもの有権者の意思でもなんでもない。

現実の有権者の状況はネットの人気が正しいと思っている。まあ、何をどんなに解釈しようとも、解散総選挙すれば一目瞭然だろう。私は熱烈な民主党ファンだったが、現政権にはうんざりだ。

さりとて、自民党にはやはり期待できない。みんなの党は?こちらも大衆迎合で信用ならない、その他の党も皆同じだ。残るは、やはり小沢氏かと思う。勿論小沢氏とて、期待を裏切らない保証はどこにも無い。

だがここまで失望したのだ。だったら失望した勢力からここまで嫌われ恐れられる小沢にダメもとでかけてみたい気がする。その上でやっぱりダメなら、それこそ選んだ自分が悪い。少なくともあれだけ悪いイメージなんだから、悪くて当たり前。なんて我ながら変な理屈だな。

と、思いつつ、このまま小沢氏が潰れてしまわない事を祈るばかり。何しろ年齢的に後が無い。尖閣ビデオで内部告発したように、第五検察審査会からも内部告発が起こらないものかとつい期待してしまう。

今この大事な局面において、検察が起訴出来なかった事件で残り少ない小沢氏の時間が奪われる事は国家の損失ではないか。起訴するなら一刻も早く起訴し、さっさと結審してほしいものだ。本日これにて、

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コメント

赤兎馬 様、コメントありがとうございます。
>自分たちが政権を取ってしまえば真逆の対応をしています。

⇒同感です。ただし、それは遺恨を残さないと言いながら、小沢派排除に走った現内閣でしょう。

>海保の職員に怪我人や殉職者まででたとの噂があり・・・

⇒噂は何の意味もありません。事実とすれば大変な事、貴殿は事実をどうやって知ったのでしょうか。又事実を知っているならば当然にその証拠も御存じなはず、是非公開してください。

>小沢氏に関してですが、貴兄は買いかぶりすぎていると思います。

⇒そうかもしれません。しかしそうでないかもしれません。私は知り得る情報の中で判断していますので、買いかぶりとする証拠を是非提示してください。それが妥当なものなら私は、即考えを改めます。

投稿: べンダソン | 2010/11/10 22:45

おおむね賛同致します。石垣島では箝口令が敷かれているようで、中国並みの言論統制を現政権はおこなっているようです。この政権の中枢部は、反体制派に属していた方々なのに、自分たちが政権を取ってしまえば真逆の対応をしています。

また、海保の職員に怪我人や殉職者まででたとの噂があり、事の真相を公にすべきだと思います。噂が大きくなり、真実が曲げられることは日本にとっても中国にとっても良くないことでしょう。

小沢氏に関してですが、貴兄は買いかぶりすぎていると思います。詳細は後ほど・・・

投稿: 赤兎馬 | 2010/11/08 09:17

小沢二郎様、コメントありがとうございます。

>中国船の船長を釈放した時点で日本の負けだったと思います。もし、小沢さんが首相だったらどんな対応をしたのか見てみたかったです。


⇒全くです。小沢氏が首相だったら、少なくともこんな失態はやらなかったし、そもそも中国も警戒して、あんな高飛車な態度には出て無かったでしょう。

私は最近の菅首相のバカ面が気になります。1月前は、あんなバカ面ではなかった。

投稿: ベンダソン | 2010/11/05 22:50

盗っ人メドベージェフ様、コメントありがとうございます。

>違法のようではあるが尖閣ビデオを国民に公開した人に感謝したい。

⇒事の善し悪し以前に、まあ、大多数の方がそう思うでしょうね。私もです。現時点では、ビデオ公開の仕方としてはベストでしょう。

ただ、その事と一連の尖閣騒動の是非とは、今となってはほとんど無関係なんですが、その区別が付く人は稀でしょう。そこに問題が有ると思います。

投稿: ベンダソン | 2010/11/05 22:44

ベンダソンさん、初めまして。いつもブログを楽しく拝見させて頂いております。今回の尖閣問題に対する日本政府の対応には本当にがっかりしました。どうしてこうも中国の言いなりなのか。。。いまさら衝突のビデオを公開したところで、何になるのでしょう?中国船の船長を釈放した時点で日本の負けだったと思います。もし、小沢さんが首相だったらどんな対応をしたのか見てみたかったです。

投稿: 小沢二郎 | 2010/11/05 22:44

尖閣ビデオを見た人の中に、率直に反中感情を抱いた人がいたとしても不思議ではない。
それほど、中国船の行動は悪質であった。国民に対して隠蔽し続けてきた菅・仙谷政権は信用できない。
違法のようではあるが尖閣ビデオを国民に公開した人に感謝したい。

投稿: 盗っ人メドベージェフ | 2010/11/05 17:47

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